2018年4月15日日曜日

聖なる鹿殺し



あまりな直訳で、文法的に「聖なる」が何を形容するのか
戸惑う....だから、オリジナルタイトルをサブにつけたのだ。


ギリシャの文物は様々な社会の上部構造の源流であり、地球規模で伝播したのは
遠い遠い昔のこと。
その後、この国は世界に迷惑しかかけていない。
それは映画の分野も同じ。
Wikiのコンテンツの貧相な....いやそれ以上。
ギリシャの映画監督と指折れば

アンゲロプロス(交通事故で逝去)
カブラス(フランスで活躍)
カコヤヌス(正確にはキプロス人)

でおしまいだ。
最近やっとこさ登場したのが、ヨルゴスランティモス
先人同様に、ギリシャ悲劇や神話のお世話になっている模様だが、
活躍拠点はロンドン

模様としか書けないのは、その辺りの知見に乏しいから。
鹿殺しと言われれば、奈良の豆腐屋の爺さんの神鹿殺ししか思い浮かばない。
古典落語に詳しくなくとも「鹿政談」程度は知ってます。


わけ知り顔の映画解説だと、ギリシャ神話のアルテミスの鹿に始まり、
トロイ戦争のイフゲニアの悲劇に及ぶ。
多分ただしいのだろうが、余りに辛気臭いし、アルテミスの鹿が殺されたという
エピソードは聞いたことがない。
ヘラクレスに捕獲されたことはありますが....

イフゲニアの悲劇になぞらえてもいいが、
この悲劇は、真景累ヶ淵みたいな長丁場の因果物だし、
映画的には、イフゲニアとオレステスの姉弟のうち、
犠牲になるのは、オレステスの方。
ここでオレステスが死んでしまえば、後々の母親殺しが成り立たない。


まああれこれ揚げ足をとるものではない。
余計なギリシャ神話の薀蓄に囚われないで
サイコホラーな不条理劇だと思えば、まずまず楽しめます。
が、キューブリックに比定するのはやり過ぎ。
彼は、斯様な不愉快なバックミュージックは使わない!

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