2020年8月4日火曜日

自分探しの旅に出る



本当の自分に出会う旅は長期間の徒歩旅行と相場が決まっている。
古くはエルサレムへの巡礼とかメッカへの巡礼
仏教だって、お遍路さんの旅はそれに匹敵する。
聖地訪問も、エルサレムはいささか命懸けなもんで・・・
いまや、サンティアゴデコンポステーラへの旅。
禁欲的な耶蘇教徒が、千キロになんなんとする街道を歩き続ける。
かつては、膝行で歩き通したという信じがたいことが行われたらしいし、
いまでも、大聖堂の街にたどり着けば、街中では膝行される信心深い方が
おいでになるらしい。

一方、ざっと千四百キロの四国の八十八ケ所の巡礼も悪くはないが、古式豊かなのは、熊野巡礼
残念ながら、巡礼路の整備が限定的だし、三十三番の札所なる観音巡りに至っては
歩き巡礼はおよそ聞くことがない。
多分ですが、ルート設定がよくないが理由だろう。
お遍路は、四十日程度で八十八ヶ所のお寺めぐりをしますが、若干の例外を別にし、均等にばらまかれている。
他方、観音巡りは近畿一円に拡散しすぎ、数だけ言えば京都市内に偏在する。
一番の札所から二番まではほぼ、紀伊半島の海岸線を半周。
途中でやる気がなくなります。


狭い国土をより早く安全に移動させる近代システムのなかで、
忘れ去られた巡礼の旅も、癒しだとか自分探しとか・・・
単なる健康志向の流れかよく知りませんが、
経済成長の牽引とかも加わり復興の兆しは慶賀の至りである。


しかし、こういうことにかけては、その徹底さにおいてアメリカンに如くものはない。

PCT

パシフィック・クレスト・トレイルの略称であり、アメリカ合衆国の長距離自然歩道。
アメリカにおける三大長距離自然歩道のひとつ。
いずれもが、数千キロの距離と高低差3千メートルなワイルドコース
危険と隣り合わせの野宿と自炊前提の徒歩旅行。
単純に言えば、メキシコ国境からカナダ国境までの山岳地帯を北上する(超上級者コースはそれを往復するとか)
完走すれば、比叡山千日回峰行までは言わないが、それなりに尊敬されるそうです。
毎年数百人が完走に挑戦し、成功率は半分くらいだとか・・・・

ほんとうに悩めるアメリカンは、精神分析医なんかにかからず、
なにもかも断捨離して、PCTに挑むのですよ。

映画「わたしにあうまでの1600キロ」は、ある女性の実話・・自伝の映画化。
絶望のなかで半ばヤケクソでPCTに挑むのですが、たちまちに戦意喪失(笑)
しかし、最後までやり遂げる目標が見えてくると・・・

完走した後のわたしって・・たった20セントしかもってなくてどうするんだ・・・
心の広い神々は顔を上げて前を向いて進むものには優しい。
彼女はこの経験譚を出版し、大ベストセラーになったのが2012年のこと。
良質な映画製作会社の手で映画化もされましたし、
まずは、順風漫歩な人生航路中・・・なんだろうと思います。





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