2024年9月21日土曜日

雷乃収声

 




暑さ寒さも御彼岸まで....


春にはぼた(牡丹)餅、秋はおはぎ(萩)
おなじようなものだが、春は粒あん丸状、秋はこし餡俵状。
甘党でなくとも美味しく感じるが、食い意地が先に立ちそこまでの蘊蓄はなかった。


秋分の日の副題ですが、二十四節気七十二候のひとつ、雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)がそのまま季語をなったということですが、これじゃ季語だけで十四文字(^^)


この頃ともなれば、夕立に先立たつ雷の声もしなくなります。
たとえとしては、、、

「ゴロゴロ」と宿題もせずに夏休み中遊び呆けていた餓鬼どもも学校に通い出し「親父のお小言」も影を潜めた...からではない、、、が洒落としては悪くない



雷の声 収まりて雁 片面(かたえ)の風


定型詩にしては破格が過ぎると非難されるかな?


2024年9月20日金曜日

外食天国

 





江戸時代は、外食天国だったらしい。
江戸後期の飲食店の数が、かの名店である八百善に始まり屋台の蕎麦屋までふくめ七千軒程度。
当時は単身赴任なお武家やら、食い詰めた裏長屋の町奴がごまんといました。
食い物屋も玉石混交ながら商売になったようだから、女日照りの江戸は相当なブスでもモテたことに似ている(^^)



いまでも、その伝統なのか石を投げれば食い物屋にあたるのが、今の東京。
数だけ言えば六万軒あまりで、人口十万人あたりで、五百軒だそうです。
いわゆる「飲み屋」は別カウントというから恐れ入る。



内藤湖南先生は「日本史は室町以降だけ学べば良い!」と喝破する。
しかし、およそ食い物に関しては、江戸以降で十分だが、比較対比的には、室町食文化のお勉強も大事と思うので・・・

さて、戦国武将の夕食を再現すれば、お皿の数だけは、毎夜たくさんです。
主菜用に三皿、あしらえなんかに小皿が三つばかり。
あとは、ご飯茶碗ですが、汁椀はなかったみたい。
主菜は日本古来の三代珍味。
梅干、鮑、水母・・・って明石散人がなんかに書いてました。
あしらえは、塩、酢、味噌の三点セット。

戦国武将の晩餐とはこんなもんです。
長屋の御家人くずれの一椀一汁一菜みたいな品さがる食い物とは一線を画する平安貴族の流れを汲む典雅な御食事なんですが、いまの舌感覚からすれば、ちょっと耐えられない。



江戸時代の随筆なんか読んでますと、この時代は「食材物革命期」だった。
  
清酒
醤油
出汁
   
これらの食材を抜きにした和食の風景って・・・ひどく違和感があります。
その意味で文化遺産たる「和食」と豪語してもその歴史はたかが200年程度に過ぎない。
まっとうなフレンチはイタリアを濫觴に16世紀に始まり、中華料理の真髄は更に歴史を遡り・・を思えば、和食を含めて三大料理と自慢するのは夜郎自大という。



食い物に対する熱心さ・・・というか執念にかけるようです。
職人のあくなく探究心なんて、その辺のやらせサイトの言い草。
生き物と名が付けば、なんでも食材にする。
いざとなれば、我が子でも・・・って、易牙を筆頭に、中華料理のコックさんはど外れているし、そこまでの情念がないと三大の名に値しないし、それをもってあくなき探求という。

2024年9月19日木曜日

秋渇く

 



仮にも「秋乾き」ならば、じっとり蒸し暑い夏も終わりからりとした蒼天の秋。
当たり前すぎる風景だから季語にはならない。


俳諧の世界では、秋渇きあるいは秋渇く


食欲の秋というか、、、食べても食べても満たされない語感があります。

つまり、渇くとは、焦燥する飢餓感をイメージさせる。


80年代のスタイリッシュなバンパイヤ映画なんか誰も覚えてはいないだろうが、

アタシとしては、色々と学ぶべき点があったのです。



さて、、、秋渇くの俳句

さしたるものは見つからなかったが、この映画のテイストに合致しそうなのは


老いも死も 男が先や 秋渇く(能村登四郎)


吸血鬼とは、紳士や貴婦人でないと様にならない。

かの映画のヒロインは数千年を生きるが、「血を分けた」後天的なパートナーは数百年で朽ちていくから、絶えず新しいパートナーを探す必要がある。

その焦燥感が、Hunger、、、、渇き


2024年9月18日水曜日

いつまでもショパン

 


先ずは、ショパンコンクールのドキュメンタリー映画。
未見だし、動画配信サイトにもありませんし、、、反田恭平君が出場の時のコンクールですが、彼は撮影に協力しなかったようだから、登場しませんので、この話題はこれまで(^^)



中山七里さんのシェアードユニバースの内の、、、彼ってかなりな乱作でして「岬洋介シリーズ」の中では一番良い作品


彼のユニバースのセンターは御子柴礼司(悪魔的な弁護士で元はサカキバラみたいな触法少年)

ならば、主戦場は刑事事件の法廷。

起訴前には警察官や法医学者がうごめき、、法廷には検察官。彼らがそれぞれのユニバースを形成するのだが、岬洋介は検察エリートの父親に反撥した司法修習生(どうも修習中退みたい)ながら天才的なピアニスト。しかし突発性難聴なる爆弾を抱えている。

その彼が、ショパンコンクールに颯爽と登場する。時しもアルカイダらしき爆弾テロがポーランドを襲うが、なんせ頑固で強情なポーランド人。テロや圧政に屈してはショパンコンクールの名折れとばかりに、、、


中山七里さんは楽器演奏は出来ないらしいから、絶対音感にも無縁だろうが楽譜解釈の凄まじさは、、、脚注でわかったが、ピアニストの仲道郁代さんの監修によるそうな。参考とした音源はアシュケナージ(ショパンコンクールでは第二位だった)の演奏。

ならば安心してyoutubeを聴きながらミステリーに浸しむ(^^)


ファイナリストとなった岬洋介の本選演奏曲は、ピアノコンチェルト一番

圧巻の第一主題から第二主題へ。そのとき発作が起き演奏は不能となる、、、、


さて、ドラマはここからだし、ミステリーの結幕も

拙いアタシの駄文では目の汚れだろうからショパンの音楽性のさまざまな解釈も含めて、興味があれば、このミステリーを読んでください。

ノクターン二番の演奏が「奇跡」を起こす感動作品



2024年9月17日火曜日

むかしむかし、、、西北

 


ネットから拝借した懐かしい写真

昭和12年頃の阪急西宮北口あたりです。

真ん中にあるのが、阪急西宮球場(阪急ブレーブスのホームタウン)

エリア全体には、のちにテニスコート、フットボールコート、ゴルフ練習場とあたかも「ボールパーク」の様相。右寄りに見えるのが阪急今津線。下には阪急神戸線が微かに、、、、


野球チームを手放した事により、エリア全体は大規模な商業施設に衣替えをし、成功した再開発事例となり、今時は、野球場があった記憶も薄らいだ。







旧跡をメモリーをとどめる微かな記憶




実は西宮球場は西宮競輪場を併設。

野球のない時はグランド内にバンクを設営。

実際のところは、入場者数は競輪の方がはるかに多く、主客転倒のありさまだった(^^)



2024年9月16日月曜日

ショパンコンクールミステリー

 


ショパンコンクールが、ピアノコンクールの最高峰である理由はよく知りません。
最古の歴史のゆえか、、、あるいはある識者曰く「ショパンの優れた演奏家はベートーヴェンやリストも弾きこなせるがその逆はない」
百年弱(5年毎に開催され、年齢条項から最大三度しかコンテスタントになれないはず)の歴史のなかで、優勝者は、ポーランドやロシア、最近はアジア系に偏する事からして、ローカル大会みたいにも思える。

ショパンコンクール優勝と言っても誰もが、刮目するような超一流になれるわけでもない。


アルゲリッチ(アルゼンチン)

ポリーニ(イタリア)、、、、くらいかなあ?


グールドやディパッティはショパンコンクールとは無縁の存在だし、ピアニストの巨人と畏怖される方々は、ショパンコンクール以前からの存在。



ともあれなにかと話題になるコンクールには違いなく、ドキュメンタリー映画が作られたり、小説の舞台になったりもします。




明日以降に続きます



2024年9月15日日曜日

敬老の日

 



多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を、、、、(敬老の日の趣旨)


まあ、結構なことなんでしょうが、単に馬齢を重ねただけってこともあります。

百歳になれば、内閣総理大臣より「銀盃」が頂けるそうですが、まだやってるのでしょうなあ

メルカリなんかにはそこそこの出品がありますから、、、


御逝去の区切りとして売り飛ばした

腹の足しになる方がマシって事でもらったら即....


かような有様が敬老の日の趣旨に相応しいとは?

かつては、永年勤続記念として


10年 木杯

20年 銀杯

30年 金杯(それ以上になると飾り台)


なんて時代もあったそうですが、今や時代錯誤感が満載。

そして、百歳超えが十万人にもなり、その九割が女性となれば、かような記念品贈呈の意義も如何かと、、、役人の発想らしく、始めた事は辞めないがその代わりに

今では老人福祉予算規模全体からすればはした金なのに「銀メッキ杯」というケチ臭さ(^^)
そんな小手先の事をやるくらいなら辞めればいい。

長寿は嘉すべきことだが、過度に福祉費用を費消したり年金財源負担を圧迫しないでくれって絶対に口には出せないホンネの部分かも


しかし、よく分からないが、

百歳になれば、銀メッキ杯がもらえるとしても一回だけなのかね。以降お誕生日の都度なにかもらえないのかしら?

受刑者あるいは前科者は「社会につくしてきた」とは言えないから銀メッキ杯をもらう資格はないはずだが、、、ざっと見た範囲だと、百歳以上の受刑者は今時点はいない(女囚比率が増加基調とは言え未だにオトコ社会ですから)

しかし刑期満了した前科者は全く分からない。


前科は死ぬまで消えない。

しかし、刑の執行の効力は刑期満了後一定の期間が経過すれば、消滅します。







2024年9月14日土曜日

ついでに、、、自転車のはなし

 



最良のエコ輸送手段だと言われるが、そういい想い出ばかりでもない。
お仕事始め(最初の勤務地)は、大阪湾の海岸近くの工場だった。
今はテーマパークに敷地の一部(半分くらいかな?)を譲渡したが、当時は結構広大だった。
工場内の移動手段は「自転車」
堅牢だけが取り柄みたいな代々引き継がれてきた「社用車」である。
別の工場勤務の同期生は、同じ社用車でも四輪を乗り回している。
我が身の不幸はここに始まったようなものだ。
しばらくは自転車には乗ろうとは思わなかった。
だから、この映画も好きではない。

自転車が抑圧解放のシンボルだと言われるのはまさにその通りだ。
戦後の頃の明るい一番の輝きの映像化としては、最高の部類だろう。
しかし、嘘っぽい(笑)
昭和30年頃の自転車の値段は一万五千円くらい。
当時の月給が一万円そこそこ。
今でもクロスバイクなら、それ位は廉価だろうが、
戦後間なしの高校生の普段使いと思えば、あり得ない光景としか見えない。
いまから思えば、戦後の自由とか平等とか民主主義って価値観もそういうフィクションだったのですってことの間接証明に違いない。


第二次世界大戦の欧州戦線の華は、戦車を主体とする電撃戦。
機動力と火力が勝敗を決める。
戦車の初登場は、第一次世界大戦のころで、騎兵将校団に馬鹿にされながらも、おずおずと登場し、なんとなく役に立ちそうな気分を与えた。
1910年代までが騎兵の時代。以降は戦車の時代である。
にもかかわらず、愛馬行進曲なんて軍歌があるところをみれば、皇軍ではまだまだ第一線で活躍していたらしい(正しくは愛馬進軍歌であり1939年のリリース)
無事戦地から帰還された近所のおっさんは・・・「馬のほうを大事にしやがって」って怒ってましたが、そりゃ当り前でしょう。


司馬さんの「坂の上の雲」では、対露西亜戦勝利の要諦は「コサック騎兵隊とバルチック艦隊」の撃破にあるとされるが、後者はともかく、満州の大地で華々しい騎馬戦があったようには描かれていない。
大量生産型の機械工業の裾野の広がりのない倭国のこと。
明治維新があと二十年遅れていれば、日露の戦いはどうなったか分かったものではない。



しかしながら、軽機械工業の分野となれば、倭人の得意分野。戦前の自転車産業は輸出の花形でもあり、東南アジア地区に手広く販売されたようである。
太平洋戦争において、機動力において圧倒的に劣位な点を補強するための「苦肉の策」が銀輪部隊。
どうも、現地で大量に自転車を接収して部隊編成を行ったようである。
マレーシア半島を銀輪を煌かせて疾走する自転車部隊って・・・・まあ絵になったのでしょうねえ。
首尾よくシンガポールを短期間で政略できたことにいささかの貢献はあったようです。
同様に、マニラ攻略でも成果を出したと言われるが、バターン半島での「捕虜虐待」の汚点により、あまり語られることはなく、
その後、自転車の活躍を聞くこともなくなった。






2024年9月13日金曜日

チリも積もれば、、、いつかは

 


買い物をすれば、オマケ(景品とかポイント)が付いてくる。

原価を構成してはずだから、そんな余計な事よりも、その分建値を下げてよ、、、と考えるのが合理的。

しかし、射倖心やらなんやら非論理的な意識も働き、ついついって(^^)


表の一部が欠けているが、民間消費支出の合計は約300兆円

その約四割がクレカ。高額なお買い物はクレジットという消費行動らしいが、アタシのように百円足らずでも平然とブラックカード、、、はどうも非常な使い方らしい。

やはり少額の普段使いはコード決済

規模は10兆円でしかないのは、、、まだまだ拡大の余地がある?

PayPayがガリバーなのは御承知の通りです。




お買い物の都度、塵みたいなポイントが付与される。最初の頃は支払に回していたが、支払をクレカにする方がポイント還元率が高くなるので、付与されたポイントは貯め込んでGAFAMで運用をお願いしている。

塵も積もればなんとやら

高級な電動アシストクロスバイクを貯めたポイントの「運用益」で買うまで、、、あの暴落無かりせば、あと少しだったのですがねえ。

スポーツバイクのテールランプが遠のいたわ😢




2024年9月12日木曜日

梅田すてんしょん

 



グレーター大阪ステーションシティのメインフレームがカタチになってきた。
ミーハーですから、、、暑いさなかにも関わらず、、、


大阪駅が出来たのは明治七年だとか。

あれから150年が過ぎて、、、初代の駅舎が出来た当時は、朱引の外の曽根崎村の字「埋め田」

人気の見物スポットだったらしく貴賤都鄙が押しかけたが、大阪驛と言っても実感がなく「梅田すてんしょん」が通り名。

それが、大阪駅を中心にOSCと呼ばれるグレーターゾーンとなった。

ざっと端から端まで4キロ四方。たっぷりと徘徊が楽しめる。

駅南の闇市跡は既に開発済みだが、駅前ビル地下二階には未だにその雰囲気が残っている。

北側には巨大な都市公園。そして、西側の中央郵便局後には巨大な商業施設も新規オープン。

東側の阪急デパートビル(昔は阪急梅田駅が省線大阪驛とほぼ直結)と、、、、かなり壮観な風景。




それなりの施設は何でもあり、逆に何処とも大差はなく没個性的

大阪らしくて一般的に無いものをもってくれば良かったのだが、、、、


美術館(所蔵物がなくてもテーマを決めて都度借り集めればいいのよ)

吉本の劇場

文楽や歌舞伎の芝居小屋



2024年9月11日水曜日

IQ

 



世間的に見ていかがわしいものは山とあるが、知能指数なるものも、そのカテゴリーに入ると思っている。
高ければ「頭が良い」。
間違いではないが、その言葉の意味づけが難しい。
知能とは「多岐多様な知的活動の特性」を言う。多岐多様と言うのが曲者で、測定方法が多岐多様を測りがたければその結果は意味をなさない。
巨大な知性の大伽藍(脳髄のこと)を隈なく測定できる方法があれば教えて欲しい(あろうはずが無いことの反語表現だ)
極めて単純に言えば、現在行われているIQ検査の結果とは、早熟度測定か母集団での偏差値かどちらかである。


天才たちのIQランキングというお遊びがあるのですが、300とか400とか馬鹿馬鹿しい数字が並んでいることはさておき「知能指数が高い=天才=人類の歴史への貢献度」を意味しないことだけは確かだ,

まずもって、音楽家が登場しない。
三歳で作曲が出来たらしいモーツァルト様が天才でないはずが無く、後世への貢献度の大きさはそんじょそこらの科学者の比ではない。
ゲーテやスタール夫人が登場しても、シェイクスピア殿のIQはどこをみても記載がない。
どっちが上かとかは言わないが、人類への貢献度はこの劇作家にしくものはない。

要するに、人文科学や社会科学的知性を測定出来るように設計されていない、置換すれば測定方法としては不完全だということだ。
ライス元国務長官は、アイビーリーグに飛び級で入学したほどの知能の持ち主ですが、彼女の公表されているIQは、たった136(六歳の頃の測定値)。再度言いますよ、たった!
外交官としての才能は、他国と不仲になることだけでしたから、まあ正しいのかも・・・・苦笑

最近の幼稚園や小学校でIQ検査をするのかどうかは知らない。
知っていることは、刑務所に収監される際にはIQ検査を必ず実施するらしいということ。
IQのレベルで収監する刑務所を決めているとも言われますが、よく分からない。
ただ確かなことは、その数値が世間水準よりも低位だと言われている。
家庭環境等就学環境にもIQ検査の結果は左右されますから、知力がないと言うよりも不幸な育ち方をしたという方が正鵠を得ている可能性が高い。
ということで、最強の治安対策は教育の充実という蝸牛庵の毎度の主張になるのです。


高度とは言い難い外国人材なくして倭國の経済は回らなくなりつつある。ガストアルバイターを入れれば治安が悪くなる。

就労ビザを与える前に「郷のしきたり」を教えて倭國の馴染みやすさを判断してから入国支度金を与えて、、、というのが一番良い。

コストはかかるが、治安コストに比べればさほどでもなかろう。


2024年9月10日火曜日

大和三山

 




大和三山のことですが、能楽では「ミツヤマ」と呼びます。

万葉集の著名な長歌。

痴情のもつれって直ぐにわかるのですが、三山のうち誰が雄だか雌だかの解釈が難しい。王朝古典では同性愛は皆無に近いので、、、

「香具山は畝傍ををし(愛おしだか?雄々しいだか?)」をどう解釈するかによる。

香具山が畝傍山を愛おしく思い耳成山と争ったならば

香具山 雄

畝傍山 雌

耳成山 雄

しかし、雄々しくて憧れたのならば

香具山 雌

畝傍山 雄

耳成山 雌


古代より「雄二匹が雌一匹を」争うのが一般的な伝承だから、後者のように解釈するのが王道だが、なんともドロドロしてみやびではない。


一方で、能「三山」では、

香久山 二股愛のオトコ

畝傍山 桜子という色好みオンナ(ツレ)

耳成山 桂子なる優なるオンナ(シテ)

オトコそのものは登場せず、ワキは約束通りの諸国一見の旅の僧

つまりは、オンナ同士の痴話喧嘩が本題であり、負けて入水した桂子の魂鎮めが主題。


復曲能であり、現代的アレンジすると共にかなりな技巧を弄した難曲。

これを12月の渋谷の舞台の演目となった次第。


まだまだ時間ありますからなんとかなる、、、正座のことですよ!、、、




2024年9月9日月曜日

暑さ寒さも彼岸まで、、、なんだが

 


なんて俚諺も昨今は、、、
春来ればすでに夏の気温だし、秋に至れどいつまでも炎夏の残り気配

せめては、王朝和歌の世界から「秋の気配」を


この寝ぬる朝けの風の

少女子が袖振る

山に秋はきぬらん


秋来ぬと

目にはさやかに みえねども

風の音にぞ 驚かれぬる


秋といえど

木の葉も知らぬ初風に

われのみもろき 袖の白玉



まずは、後鳥羽帝(續後撰集 秋上部)

上句は序詞であり「袖振る山に秋」がやってきたという万葉調にしておおらかなスメラミコト風

袖ふるは、万葉集によく登場する常套句であり、後年本歌取りによく採用されたが、親愛の情をこめて送り出すあるいは迎え入れるという古代的な呪術的な風習だと識者は言います。

立秋の日の朝ぼらけの頃、少女が袖を振り秋を招き入れる、、、なんとも気分の良くなる和歌。


二番目は、誰もが知っているだろう古今和歌集秋上部の巻頭歌。作者は藤原敏行なる下級貴族歌人

視覚では感じえないが聴覚で秋を感じるって、、、

ヒトザルは視覚で八割の外部認識を行うと言われるが、敢えてそれを捨てて古代の呪術性を思わせるような感覚認識がこの和歌のキモ。

理が勝ち過ぎるって批難もされるし、理知的と讃賞とされるだろうし、、、、


三番目は、、、定家三十三歳の頃の作品

絢爛にして鋭敏な技巧の冴え渡る絶頂期の作品。彼の秋の和歌は秀作ぞろいであり、不幸にして全ての勅撰集から敬して遠ざけられた。

不採用にも理由がある。

秀句表現の食傷気味的連発(この葉も知らぬ われのみもろき)は消化不良を起こしますからねえ(^^)





2024年9月8日日曜日

フォールガイ

 



アメリカンの俗語表現って、、、、みるからに分かりますよ。辞典的には、騙され易い、カモになる、スタントマン、、、なんかが並んでますが、かなり意味合いが違うだろう。


まず当たり外れのない「バックステージもの」

設定がかなり凝ってます。

主人公はスタントマンを生業とするが、撮影中の事故で仕事から離脱し、恋人のカメラウーマンとも疎遠に。

ある日辣腕のプロデューサー女史の強引な要請で元恋人が初監督する現場に復帰したが、、、そこにはかの女史の「罠」が


主演男優が今の彼のスタントマンを偶発的に殺害。その隠蔽のため殺人犯の「スタントマン」に擬せられようとする主人公のスタントマン。

スタントマンなる職業の要素スキルは並はずれたアスリート能力はもとより主役に容貌や体格が似ている必要がある。

一見してこの三人は似ていて判別がつきにくい。

アップテンポの展開で誰が誰だか錯乱しているうちに最後はお約束通りのハッピーエンド。

恋人の初監督映画は大ヒットし、二人はよりを戻し

メデタシメデタシ❣️、、、なんてご都合主義の極みだ。製作者と主演男優が殺人の被疑者となれば製作は普通は中止だろう?

それに主演男優は誰が演じたんだよって?

仔細に映像を見れば、アクアマンの主演のマッチョみたいだが、スタントマンのライアンゴスリングの方がかなりスリム


途中から、、、ヒロインはエミリーブランドだと思っていたが、実はジェニファーローレンスかあ?と思うくらい(^^)



過去の有名映画のシーンや台詞の換骨奪胎やら、楽しいカメオ出演とか、映画愛満載のマニア好みな一作

2024年9月7日土曜日

花ろうそく

 




灯し 消えゆく
ほのおの果てに

想ひ 無明


多少な字余りな俳句のつもりだが、、、灯しや炎だけでは季語にならないみたいだ。

仏壇の短くなりゆく灯明を観ての一句なんだが、、、

もう少しことばを吟味する必要がある



灯明とは、

無明の闇を照らす仏陀の智慧を表す、、、セントエルモスファイヤーのように愚昧な衆生を導くナンチャラというのが通説的解説。

一般的には、右に灯明、左に供花、真ん中に線香の三点セットだと言われるが、我が陋屋では、灯明と仏花は対で飾る。



しかし、蝋燭は火事の元だし、切花は夏は枯れやすいもんで、生活の知恵とは素晴らしい。


絵蝋燭


仏具店で見かけるが、謂れは知らなかった。

これはこれで素晴らしいが、火事対策にはならない

のが難だが、探せばあるものだ!



LEDで炎が揺らぐようになっているらしい電池式

タイマーがあるのかどうかは知らない。


しかしなあ、、、蝋燭の科学(ファラデー)を知らないとか読んだことのない理科系学徒はまずいないだろうが、かような「文明の利器」からは科学する魂は育たない、、、とアタシは思う。




ちなみに、我が陋屋の仏壇の仏花は「高野槙」だけ

こまめに水さえあげてれば四半期はもちますからお手間要らず。

殺風景ならば、都度の一輪の季節花の投げ入れ

蝋燭は一センチ弱の超短寸。これなら消し忘れリスクは回避可能

文明の利器に依存しているとこんな智慧は湧いてこない(^^)

2024年9月6日金曜日

ラストマイル

 



テレビ局系が製作したようですが、


映画館での予告編スポットをうちまくる

主な出演者がバンセンでテレビでずっぱり

その他あらゆるプロモーション


を派手にやっていたという印象はない。

にも関わらず、公開三日間の興収が10億円は快挙だし、その後も堅調。

一体原作者は誰だ?とかこんな漫画聞いたことないとか、、、実はオリジナル作品だそうな


ラスト(ワン)マイル


珍しく満島ひかりさんが主演だというから、、、彼女露出があんまり多くないが名女優。

なもんで、入りの悪そうな時間帯を狙って(^^)


個性的なバイプレイヤーを惜しげもなく起用しているところは贅沢なんですが、なんだか国内ドラマ配信で観たような風景

なるほど、これが「シェアードユニバース」だ!



はみ出し系の刑事

クセのある法医学者、、、のテレビドラマを拝借してきて統一共有された世界観でつくられたパニックスリラーのつもりらしい。

マーベルアニメのアベンジャーズの世界みたいなものなんだが、過去のテレビドラマである


アンナチュラル(石原さとみとか)

MIU404(綾野剛と星野源)


とこのラストマイルの何処が同じ世界観なんだ?

あっちのドラマの役者がこっちに登場しているだけで、それぞれに接点や交点があるわけでもなく、はやい話が、カタカナ新機軸客引きトーク程度にしか思えない。



映画としてどうかと言われれば、、、竜頭蛇尾

つまり、ラストワンマイルが支離滅裂。

この言葉は、元来はIT世界の用語だが、今回は物流業界用語として使われている。

カタカナ表現だとなんだか目新しくおもえるが「プロジェクトやタスクの成否は最後の一手できまる」的な事であり、、、


古人曰く......百里の道も九十九里を半ばとする



なんか、倭國の文藝にシェアードユニバースがあったかと問われれば、、、


中山七里ワールド


かなりお手軽でチープなんですが、かような視点で見れば結構面白い(が、公設貸本屋さんで借りて読む程度のエンタメ)










2024年9月5日木曜日

酸性雨

 


お手軽に客引きのできる映画ジャンルが自然災害パニック


地震
津波
噴火
台風(ハリケーン、サイクロン等)
竜巻等々


しかし、このテーマは初めてかも、、、


酸性雨


にわか学習を披瀝すれば、人類史上初めて認知されたのが、英国の産業革命期のころだそうです。

その原因なりは容易に推定できます。しかし、山林が枯死したとか程度なら、、、それはそれで深刻なはずだが、バタバタとヒトザルが倒れたわけではない。


しかし、pH⒌6を大きく下回る、、、言ってみれば希硫酸の雨が降るとなれば、事は深刻。

希硫酸雨対応の建物とか諸々のインフラなんか聞いたことはない。つまり避難回避不能。

ひたすら雨の降らないエリアに逃げ惑うしかないが、そんな恐怖の雨が降るほどの環境破壊ってにわかに想像し難いのですが、、、、


自然災害パニック映画はハリウッドの独壇場なんですが、このチープっぽい映画はフランス産

だっから、人物関係を込み入らせたり小理屈が多くてエンタメとして鑑賞できずに実に疲れます(^^)

二酸化炭素ゼロ社会を目指すフランスだから、こんなテーマの映画に資金がついたのだ。

たぶん、ハリウッドは既にリメイク権を買い取ったはず。

ハリウッドスタイルのパニックスリラーならば、エンタメとしては見応えあるだろう、、、っていまから期待





2024年9月4日水曜日

悪循環

 



トレーニングは、、、
一日やすめば、自分で分かり
三日サボれば、師匠にばれる
一週間怠惰ならば、、、、押して知るべし。


けだし、継続は力である

舞台(ステージ)があると思えば、お稽古に精出すし、満足なお稽古をやるには日々の予習復習が欠かせない。


素人能楽師の端くれでも、舞台に上がる以上は恥はかきたくないしヒトイチバイええカッコしいだし(^^)

結構長い期間師匠についてお稽古に励んできたが、師匠が椎間板ヘルニアでダウン。

12月の舞台はどうなるか分からないし、お稽古は長らく中止。そうなれば予習や復習をやる気も失せる。

これが「悪循環」

声は出なくなっただろうし、正座も、、、もはや15分もあやしい。


九月からお稽古再開は慶賀の至りだが、一定の水準にまでリカバリーするのには、それなりの時間がかかる。予定通り舞台が開催できたとして、自分なりの完成度になるかどうか、、、、まあ、そん時は演目の難易度をおとせば住む話なんだが(^^)



2024年9月3日火曜日

グミの日

 



◯◯の日なんて数えるのが馬鹿馬鹿しいほどあるし、、、大抵は語呂合わせ。
だから、この九月三日がグミの日でもお菓子くない(^^)


そもそもアタシが日常的に口にするものではないし、

グミが酒の肴や薄茶濃茶のアシライにはならない。

けだし、オオサカはおばちゃんの飴ちゃん文化。


とは言え、、、ミーハーなアタシ

ブームだとか、可愛い孫が欲しいと言われれば、、、

発祥は百年前のドイツ、倭国上陸は半世紀前くらいだそうです。

しかし、市場規模は一千億円程度。

お菓子全体の小売売上額が三兆数千億円で、三強が、チョコ、スナック菓子、和菓子(この三つで四割を超える)

その程度と思うか一定の存在感と感じるかは微妙。


御託はともかく、お誕生日祝いとやらに「詰め合わせセット」を買わされた。