2020年5月24日日曜日
江戸単身赴任の下流サラリーマン日記
まだ図書館が開かないし、文庫本を拾い読む。
幕末単身赴任下級武士の食日記
本当にちくま文庫は玉石混交だが、
著者の経歴が面白くてよみはじめたが、経歴ほどのことはない。
赤坂の虎屋は、禁裏御用の歴史ある和菓子屋
江戸時代からの和菓子の資料を大量にお持ちだそうで
その整理のための組織がある。
著者は、その虎屋文庫の研究主幹だったよし
倭の文学は日記に如かず...とはドナルドキーン先生の言
王朝はもとより、江戸期ともなれば、誰しもが日記をしたためる。
若い紀州藩士酒井伴四郎は、万延元年に江戸勤務の辞令がでた。
単身赴任で、中屋敷の長屋に住まいする事となった。
当時から大都会であった江戸だが、百万人口のうち半分は武士。
直参旗本御家人合わせて二万数千人
旗本八万騎なんて虚構に過ぎず、戊辰戦争で戦わずして...
ではなく戦闘能力自体がなかったの。
つまり、大半が田舎侍で、多くは独り者や単身赴任。
江戸の経済は無為徒食の武家の個人消費と
その個人消費を支える農工商の剰余価値で成り立っていた。
気取らずに言えば、食欲と性欲の経済である。
キーン氏が言うように日記はプライベートなものであり、
公開を前提としないはずなのに、何故か不特定多数の目に
ふれるようになっている。
酒井伴四郎の食日記もまた然りで、キワドイ話は皆無に近く
専ら食い物三昧。
日記そのものよりも克明な現金出納簿が面白い
彼の江戸勤務手当は年間39両と現物支給の白米
現代の貨幣価値換算だと、
一文が20円
6400文が一両に相当しますから、まあまあの収入です。
支給米が余れば換金もできたようです。
自炊と節約...そのくせお稽古事や外食に散財しながら
かなり溜め込んでいたみたいだし...
もっとも、紀州の妻娘の生活費はどうなっていたのかとか
細部は判らない。
赴任費用は自腹みたいですが、
社宅費負担なんかどうなっていたんだろう。
少なくとも仕事に精出しているようには見えない。
仕事といっても、着付け師範代
実に羨ましい
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿