2020年5月30日土曜日

改めて「21世紀の資本」


全世界で三百万部は売れたそうです。
下衆な事ですが、印税も相当に入ってきたのでしょうがさて置き...
彼の仮説の適否を論証するだけの知見はないが、
大きな視座からして、そんなんだろうなあ...ってシンパシーなくしては
あれほど売れなかっただろうから、相応の真理が含まれているはずだ。

それにしても経済書の映画化なんて空前絶後。
なにはともあれ、知の探求のためだ!
他府県をまたがる往来ではあるが、三蔵法師の故事を習い
禁を冒してまでも、天竺に真理を学びたことを想起せよ
朝に道を聴き夕べに死すとも....


先ずもって、ピケティ先生は何を論じたのか?

資本主義の目指すものは資本の効率的な配分であり
公平な配分ではない。
結果として生じる富の不均衡は「富の再分配」でのみ
解決することができる。
資本主義をリフォームしなければ、
資本主義の背骨(民主主義の背骨でもある)中産階級そのものが瓦解する。

(以下は解説版の孫引き)
議論の出発点となるのは、資本収益率(R)と経済成長率(G)の関係式である。
Rは、利潤、配当金、利息、貸出料などのように、
資本から入ってくる収入のことである。
そして、Gとは、給与所得などによって求められる。
....Rは平均で年に5%程度であるが、
Gは1から2%の範囲で収まっていることが明らか...
このことから、経済的不平等が増していく基本的な力は、

資本収益率>経済成長率

という不等式にまとめることができる。
すなわち、資産によって得られる富の方が、
労働によって得られる富よりも速く蓄積されやすいため、
資産金額で見たときに一握りの上位者が
より裕福になりやすく、格差はより拡大...

補足
税制は国により異なるので、ピケティ先生は論じなかったが、
倭国の有価証券税制(分配金や売買益)では、
単一税率であるため、富裕層に有利になっており、
全体として負担税率は富めば富むほど低くなる...
累進課税とは「経済成長率収益..給与」の世界だけの話


彼の著作には鬱陶しい数式がなく、
可視化された統計値と当時の経済事情を背景とする名作文学で
構成されている。
それが、その映画化映像の切り張りや、理より情に訴える
画面がより事態をセンセーショナルに構成する
まるで...サンダース上院議員のプロモーションビデオ。
あるいは、山本太郎かな?


そもそもこの経済書がこの分野での実績に乏しい
シロ難解と畏怖されるみすず書房から刊行された事が不思議な
出来事。
今回の本邦上映権も...と言いたいが、
内容的にシロ難解があつかうようなレベルじゃない
しかし、竹書房があつかうとは...そこまで
酷い代物じゃないし、マイケルムーアよりははるかに品位がある。

オリジナルを精読した方には勧めないが、
それなりのドキュメンタリーであることには間違いない。
読んだがもう忘れた方には...映画館に足運んでも良いが、
この駄日記読むだけで充分

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