2021年4月14日水曜日

雅称

 万葉集の時代はさておき、恋は秘めたるに如かず。

開けっ広げに「うちなあ....アンタすっきゃねん!」なんと告白するものではない。
燻される煙の如くジリジリしたその煙が実に素晴らしいのです。

周防内侍の絶唱

恋ひわびて ながむる空の浮雲や
わが下燃えの けぶりなるらむ(金葉和歌集)

やつれるほどの恋の果て、天空の一片の雲は我が想いの煙にほかならぬ...なんてみのらぬ恋の末路にふさわしい。

結果、彼女は「下燃えの内侍」の雅称で歴史に残る。

百人一首にも

かいなくたたん名こそおしけれ...なる機知あふれる歌有りますが、こんな戯れ歌よりもはるかに胸かきむしるって思うのよ。




最近知ったのだが「下燃えの少将」なる雅称の持ち主がいたらしい。

こんな紛らわしい雅称がなくとも歴史の残る二番手グループの名歌人である俊成卿女

祖父(俊成)同様に長寿でした。


下燃えに

思ひ消えなむけぶりだに

あとなき雲の はてぞ悲しき



霧たち登る...あまりに秀句表現なため禁句の扱い。

だから類句がない。

幸いにして「下燃え」はそうならなかったが、、、

さて歌合せをすればどっちが勝つかな?









0 件のコメント:

コメントを投稿