2020年12月4日金曜日

トウキディデスの罠

 


けふの名題は、なんとも文学的修辞ですが、れっきとした社会科学系の学術用語です。

史学、政治学、国際関係論なんかでは当たり前的な概念で言わば「漢検五級」クラス。昨今は引用される執筆者も沢山おられますが、かの名著を本当に読んだのか、名著からこの修辞を導き出したアリソン博士の論文を精読したのかは定かではない。

なかには、トウキディデスがこう言った!なんてしたり顔で書いてますから実に噴飯物。

彼はこう書いただけ(原文はギリシャ語)

It was the rise of Athens, and the fear that this inspired in Sparta, that made war inevitable.

恐れを「罠」と表現するのが妥当かどうかはアタシには判らない。

要するに、軍事大国であるスパルタは陸軍力で覇権を確立していたが、台頭するアテネとの摩擦や軋轢がペロポネソス戦争を招聘したがように...

覇権国家の君臨は世界(地域)に安定と平和(正義か不義かは別にして)をもたらし、やがて新しい勢力が台頭し、覇権争いが始まり..,

多くは戦争により事態は収束するって、、まあ当たり前チックな歴史法則です。

当たり前ですから大抵は忘れているが、新興勢力が勃興すると俄かに騒がしくなる。


アメリカンの凋落と中共の台頭


黴澱だろうが怒鳴る度だろうが、はやく狗も喰わない泥試合なんかを辞めて、この歴史の転換点の処し方を考えるべきだ。

アリソン博士は、派遣戦争の回避の政策は三つだと言う。

1)共存

2)同盟

3)撤退

一項はあり得ない。経済的依存性の高まりが抑止力になり価値観の共有につながる...なんてことは稀有の例で日米関係くらいなもの。国際社会の一員へのさまざまサポートは爆発的な経済発展をとげたが、そのハードパワーが軍事力に転換しなかったのはけだし憲法九条の縛り。他方中共は経済発展の果実を軍事大国化の原資にしたようなもの。いまさら共存なんて幻想にも等しい。

二項は様々な外交的駆け引きのさなかだから、なんとも言えないが、台頭する新しい覇権への「恐れ」はあるものの、一枚板になれるかどうかはわからない。コリアなんかとスクラムを組むといつ後ろから切り付けられるがわかったものではない。

16世紀のプレヴェサの海戦でベネツィアはスペインの裏切りで有史以来初めて海戦でオスマン帝国に敗退し海運立国の盛名は地に落ち凋落に拍車をかけたのです。

となれば、第三の道しかないのですかねえ

アメリカンの国益にとって東アジアがどの程度のものかは....多分ヨーロッパの方が大事だし、南北大陸はさらなり。グァムかハワイまでディフェンスラインを下げるのは勝手だが、アタシらはどうなるんだろう。

何もしないと、先は明白。

チベットかウィグルか内モンゴルみたいになるんですよ。しかし、マキャヴェリは書いています。

不義な平和と正義の争乱、どちらの方がマシかと言えば.......   アレレ、どっちだったかなあ?





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