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金持ちながら奉公人と金勘定には厳しい山村家に働く天涯孤独なお峰には、大晦日の寒さが一際身に沁む。
たった一人の伯父がわずか二円の借財に年が越せぬ難儀なさま。
山村のご新造さまに前借りを頼むが、歯牙にもかけてもらえず、、、、寒さに震える伯父の息子が、勝手口の暗がりでその二円を待ち受けている。
進退きわまり、お峰は硯の引き出しから二円を盗み出してしまった.....
当世風の悲惨な有り様とも二重写しともなり、毎年はとりあえずの「ハッピーエンド」にほっとして来年は良い年にと....どうも今年はなあ
山村家の跡取は放蕩息子。
どうやらお峰の盗みの現場を垣間見たようだ。
普通は借用書には「金額」を書くだろうが、元々の総額が判然としないから「引き出しの分」と書くしかない。
バレれば大晦日の雇い止めは当たり前。
行くあてなく路頭に迷い、悲劇が待っているはずのところ「放蕩」がお峰の苦境を救ったことになる。
しかしなあ....これで伯父一家の生計がたてなおるわけでもなく、味をしめてまたぞろ無心に来るかもしれないし、毎度毎度放蕩息子がたすけてくれる筈もない。
一時しのぎの「給付金」じゃ本当の救いにはならないんだよなあ。
一葉が知りたい「後の事」とはどんな展開だったのだろうか?
この作品上梓の後の余命は二年余りしかなかったし、
ならば、私が続編を書いてみようなんて無作法な真似をする文筆家もいない(アタシだってそんな非礼はしません)
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