2016年2月20日土曜日

泣けるスピーチ



ハリウッドには「ダイヤローグ屋」という職業がある。
シナリオライターとは、別の職種である。
つまり「台詞屋」


気の利いたここぞというキメ台詞を書き込む職業。
政治家のスピーチライターみたいなものである。
タイトルロールに名前が掲載されるものの、別にオスカーに輝けるわけじゃない。


オスカーの授賞式で、心に響くスピーチなんか聞くたびに
目頭が熱くなるってことはさておき、誰かに書かせたんだって天邪鬼は思うのですよ。

まあ・・・

両親や家族やスタッフに感謝し
貧窮の過去の振り返り
努力すれば願いは叶う
不可能の反対は可能ではなく挑戦って、ある意味で陳腐だし定型的です。

NETでくぐれば、山と出てきますので、ある意味で食傷気味(苦笑)
しかし、これではブログにならないので、この天邪鬼が歴代の中で「最高に泣いた」スピーチを・・・


ビリーワイルダーの受賞スピーチ。
彼は亡命ユダヤ人であった。
NYのエリス島にやっとのことで辿り着き、入国審査を不安の中待ち続ける。
中年の入国審査官の前に立ち・・・

Q:職業はなんだ
A:映画監督(脚本家)です。

・・・しばしの沈黙があって

:OK!いい映画を作ってくれ。ようこそ自由の国へ!

運命とは不思議なものだ。
映画嫌いの役人だったら、どうなったかわからない。
入国を拒否されれば、ヨーロッパで収容所にはいるしか道はない。
無事にハリウッドで映画の職を得たワイルダーは後年オスカー監督になった。

今の私がこの場にたてるのは、あの時の名前を知るすべもないあなたのお陰だ。
今やっとあなたとの約束を果たすことが出来た
サンキュー

・・・とかなんとか(涙)
当時の会場のオスカー関係者がどういう反応だったかは知らない。
言えることは、彼がヨーロッパに追い返されておれば

サンセット大通り
アパートの鍵貸します
情婦
お熱いのはお好き

なんて、文化遺産を我々は持ち得なかったことだけは確かである。





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