2018年7月17日火曜日

ヴェスパーは、甘美で危険



生涯でいかほどとまでは言わないが、観た映画のなかで一番寒気がした怖い映画はこれ!
ヒロインは御約束通りオスカーのベストアクトレスに輝く。
交通事故に遭遇した人気作家は「幸いにも」ファンのオバさんに助けられて...
しかし人気作の続編が彼女の意に染まない展開だと知ると豹変
監禁状態となった作家は、奴隷的な執筆を余儀なくされる...
舞台は冬の山間部ですが、ブランケットがいくらあっても
体の心底からの恐怖の冷気が身体中を動きまわる。



多分そのモチーフを参考にしているはず
かつての鬼才、ポランスキーのミステリアスでサスペンスフルな心理劇
作家と編集者あるいは秘書との葛藤はさまざまネタになります。
秘書がゴーストライターってありげな設定
とどのつまりは、作家を支配し翻弄するお話なのです。

しかし、ポーランド派らしい不条理劇に仕上がりました。
お話についていけません(^^)
人気作家の心の隙に忍び込む不可解でエキセントリックな女性が
エヴァグリーン...あのカジノロワイアルのヴェスパー!
今回は職業、ゴーストライターという触れ込み
本当に甘美で恐ろしい夜叉みたい。
JBのお気に入りのカクテルでもあるのですが、まことに危険な飲み物

作家の秘められた過去を私小説として書くように誘導しますが、
作家は逆にヴェスパーの過去(事実性は疑問)を小説にしようとする
化かしあい。
結局、新作ベストセラーは刊行されるのですが、一体

誰の過去?
誰が書いたの?

さっぱり判らないのがカタルシス。
この宙ぶらりん感が堪らない。




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