2019年10月30日水曜日

修験の山道



半世紀以上前のこと
亡父を訪ねてきた長身痩躯眼光鋭く
見るからにいわくありげな...

あとから聞くに修験道の先達とのこと
つまり、行者さま
用件は分からないが、いたいけない年頃のアタシを
大峰山の修行に連れて行こうってことになったらしい。

関西では少年が大人になる通過儀礼として、その道の先達が、
飛田や松島...ではなく、
大峰山に連れ登り、色々と業を行うのが習わし
無事にオトコになり、味をしめたもんで、
その後も毎夏大峰登りを繰り返した。
子供ながらに「精進あげ」の正しい意味を知りましたなあ(^.^)
かの行者さまは、大峰奥駆行にも参加させようとしたが、
これは、残念ながら亡父がお断りしたらしい。
残念ながらと言いたいが、なんとも苛烈なトレイルは
アタシの手に負えない。

紀伊山地内の古道は須らく修行の古道と思えばいい。
修験道なる神仏混交山岳宗教は、役行者を開祖とし、
長い歴史を有するが、経典宗教ではないため宗教史からは
忘れられた存在。
宗教は救済(悟り)であり教学ではないのだから、
学者が研究しなくても結構。
ひたすらに歩く事で...健康になるなんて俗事はさておき
邪念が消えて気分は清冽になり、わが身が自然と一体になり
忘我法悦の境地になることは確か。

この辺りは人種民族に限らないことらしく、
アメリカンのパシフィッククレストトレイルを舞台にした
自分探しあるいは自分からの脱却テーマの映画が何本もあります。


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