リーダーに必要な五つの条件、これを全て保ち得たのはカエサルだけだった。
ローマ人の歴史(塩野七生)の「カエサル編」冒頭部の有名な一節。
イタリアンで普通に使われている高校の教科書にはこう書かれていると書いていますが、巻末の膨大な参考文献からはその教科書とやらは見つけられない。
女史の史録というか評伝には結構茶目な虚構があり、自分のカエサル評をあたかも....という気がしてならない。
リーダーにとっての重要な資質が如何に具備されていたかの自説を長々と小説仕立てにしたように見えるのが、アタシの見立て。
いささか長すぎるし、あまりローマ史の土地勘もないからもう少し分かりやすくて短いリーダー論にしよう
漢の高祖劉邦
色々と欠陥の多い性格の持ち主だが、素直にあやまちを認めるという美質があったようだ。
そんな事はリーダー論からすれば枝葉末節
さて、、、世の中には三種類のヒトザルがいる。
兵でしかないヒトザル
兵に将たるヒトザル
将に将たるヒトザル
中華統一の大業成就の祝宴の席での事
述懐する劉邦....なんの取り柄もない俺がどうして天下をとれたんだろう?
某人応えて曰く
民政を安定させ兵站に齟齬をきたさなかったのは誰の功績か?
帷幕に謀をめぐらし、磐石の政略立案は誰の功績か?
戦えば必ず勝つ鬼神に勝る戦闘指揮の筆頭は誰か?
劉邦はそれぞれの名前を挙げその功績を称え....そこではたと得心した!
蕭何の才、張良の知、韓信の勇。
俺は彼等の能力は持ちえないが、その能力を持つ者を部下にして使いこなす事だけは出来る
某人応えて曰く
将に将たるとはまさしく劉邦皇帝だけがお持ちの「ギフト」であります!
実に分かりやすいが、具体的なんだ?と言われれば説明に困る。
東洋的に、仁とか徳としか言いようがない。
ヒトには本来の身の丈ってものがあり、よく言う「ポストがヒトを作る」のはウソ。単に能力が顕在化しただけであり、ポストが能力を作ったりはしない。
あとは余談。
ヒトザルは苦労は助け合って乗り越えようとするが、安楽は独り占めしたくなる。
コレが大切な処世訓。
蕭何は劉邦の子供を貰い受けて一族の長にした。実子の立場よりも宗族の永続を優先した。
秀吉も若い頃には信長の子供を養子をもらったはず
張良はさっさと隠遁し仙人を目指した....この辺りは范蠡(楚国の勾践の片腕)に似ている。彼は隠遁はしなかったが、遠方に逃れ陶朱公と名を改め大商人となった。
韓信は、、、友人からは「狡兎亡して走狗煮られる」と忠告を受けたにも関わらず。
不幸な末路だった。
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