何事にも「三」はすわりがいい。
ナンチャラの三傑ってよくあるはなし。
信長、秀吉、家康
蕭何、張良、韓信
西郷、桂、大久保
無理矢理揃えているきらいもあるが、揃うことでドラマになる。
坂の上の雲だって、好古、真之、子規と揃えたから重層的な視座の小説になり得た。
このあたりはストーリーテリングの基本的な技法に違いない。
名伯楽に恵まれなかった悲運の名馬、、、中島敦
アタシの頃にはなかったが、彼の山月記は国語教科書の定番。
かかるが故に、知名度抜群となったのは洛陽の紙価高からしめる至りだが、、、、口惜しくは代表作の一番手は山月記じゃないだろう.....が、ウィキではそうなっています。
李陵(中島敦晩年の傑作)
登場する主人公は、悲劇の武将である李陵
寡兵が故に異民族に敗退し捕虜となる事を余儀なくされたが、佞臣の讒言により冤罪で罪九族に及ぶ苛烈な処罰を受ける。
その不当性を直訴し武帝の不興を買い、宮刑の命令
しかしその屈辱にもめげずその生涯を人類の史官として全うした司馬遷
李陵と同じように長年拉致抑留されるが、望郷の念と漢帝国への節義を曲げず、四半世紀を経て帰国出来た蘇武。
タイプの違う三人の織りなす葛藤劇、、、、実に素晴らしい。
司馬遼太郎は司馬(遷)には遼(はる)かに及ば無いって意味のペンネームなんですが、中島敦が健康と伯楽に恵まれなかった事は「近代日本文学上の三大損失のひとつ」に違いない。
彼が長生きすれば、司馬遼太郎とはタイプの違う文学の巨塔になりえただろうに、、、、
李陵の朗読音源は2時間を超えますから、お手頃の方で代替します。
これも教科書に採用されるくらいだから名品にはちがいありません。
0 件のコメント:
コメントを投稿