19世紀末期に欧州のキリスト教白人社会を席巻した黄色人種差別論。いわゆる黄禍論
古くはモンゴル帝国の侵攻の災禍に由来するのだろうが、清国末期の扶清滅洋運動とか日本帝国の躍進の警戒感が背景とされる。
こちらとしてはかえす刀で「白禍論」を唱えたいくらいだが、罵声の応酬は生産的ではない。
しかし、昨今の中南海のありさまを遠望するに、人種的偏見とは別に「黄禍」の危惧なきにあらず、、、どころか顕在化している。
知中派知識人が異口同音に言うのですが、、、
華人は一人ならば龍
三人集まれば豚
これがマスになると砂漠の流砂
デモクラシーとの親和性はなく韓非子が提唱する法治的強権専制統治が一番適しているが故に権力が集中した独裁者に不慮の事態が起きれば、あとは阿鼻叫喚の世界
極私的にデフォルメした部分もありますが那珂通世先生の「支那通史」を読めばさもありなんと、、
十数年前に名もなき版元から刊行されたが、アタシが知る限り読書界やらからは無視された。
理由は知りません。
しかし、今読むとなかなか含蓄深いポリテカルスリラーです。
中共の独裁者が暗殺され未曾有の大混乱が起きる。
なんと台北に戦術核が投下され、、、米露は共同して中国各地を核攻撃。中共人民は須く難民化し、
シベリアへ
シルクロードを経て欧州へ
インドシナへ南下
かき集めた貨物船で一路アメリカへ
幸いにして日本列島は人口許容量が少ないのでパッシングということになってます(^^)
しかし億単位の難民が世界中に押し寄せるって想像を絶しますし、無論「核の冬」の到来は生存者よりも餓死者の方が多い地獄絵。
歴史的にも統計的にも中華の人口が半減した時期は幾度も起きてますから、この設定は荒唐無稽ではない。
読みながら、、、今の中南海の四方八方への膨張政策は清朝時代の最大版図の回復みたいな子供じみた夢だけではなさそうだと嫌な気分になる。
で結末なんですが、、、ハッピーエンドのカケラもありませんでした。
著者である王力雄は反体制派文化人ですし、どっかに亡命して活動を行なっているように思えますが、情報がありませんでした。
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