2018年12月28日金曜日

連作短編集




角田源氏は本当にサクサク読めます。
長ったらしくて、煩雑な構造の大長編ですが、
大きな塊がいくつかあり、それ単位に再編成するって
版元としては冒険すぎるのかなあ?
期待したのに...


大きく分けて、ヒカル君の生涯編と其の後の...
いわゆる「宇治十帖」
ヒカリ君薨御以降は話に興味がないとは、
徒然草の石清水八幡宮の逸話みたいなものだ(笑)

この大長編は、天皇一族と大臣家の愛憎と葛藤満載の権力闘争劇
別に刺客を送ったりとか、毒を盛る、呪詛するなんて
禍々しいことはしませんが、

娘を高位で天皇の妃にする
抜け駆けていいオンナをモノにする

これらの勝ち負けが何よりも大事。
だからそう見れば、宇治十帖か欠ければ物語にならない。


話戻して、ヒカル君の生涯編は、
準太上天皇となり地上最高の栄耀栄華を極めるまで(藤裏葉巻)と
それ以降の満月が不吉に欠けてゆくさまとヒカル君の最後(幻巻)まで。
これで第一部と第二部
これとは別に外伝と異聞を切り出す。
メインステージのヒロインは紫上で、
惑星として、葵上、六条御息所、明石上ですが、
サブヒロイン(風と共に去りぬのメラニーみたいな)である
玉鬘(その母の夕顔)は、玉鬘十帖(プロローグとして夕顔巻も加える)として外伝とする。
それ以外...

空蝉
末摘花
花散里

なんかは異聞として付録のおまけ
以上五部構成が一番読みやすくなるのだが...


ちなみに玉鬘十帖の中身ですが...

夕顔 玉鬘の母とのアバンチュールと突然の死
玉鬘 辛苦流浪の果て、ヒカルに救われる
初音 玉鬘の存在が世に知れ、貴公子達の憧れに
胡蝶 求婚者の行列にほくそ笑むヒカル自身が恋に落ち
蛍 実父の内大臣は占いで玉鬘の存在を知り探し求め
常夏 別の御落胤を探し出したが、コレがとんでもない道化
篝火 道化の悪評はスクープされ、反面玉鬘は平穏幸せな日々
野分 台風一過の翌日、ヒカルの長男は、玉鬘の秘密に気づき
行幸 ミカドの秘書室長として就職を決意した玉鬘の秘密が内大臣に明かされる
藤袴 とうとう玉鬘の出社がやってきた
真木柱 玉鬘は黒髭大将のレイプにあい、哀れ家庭人へ

なんか悲劇みたいですが、黒髭にはとことん愛されますし、
黒髭も出世街道
紫上の姉であった黒髭の妻は捨てられますが、
実家で余生を恙無く...元々鬱病みたい
お子達はそれなりの人生
まあ、ハッピー的エンド


連作短編集としては実にこれだけで楽しめる面白さ。

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