2018年12月2日日曜日

太平記の再評価


ほんとうに面白い場面とかにたどり着かないのか・・・どうも人気がない。

源氏物語はたいていは「須磨明石」まで・・・読者が余りな分量に挫折するし、
ヒカルの貴種流離譚的展開が一旦ハッピーエンドに終焉しますから
カタルシスを感じて・・・まあこの辺でいいか(苦笑)
ほんとうは、若気の至りともいうべき、不倫・姦通・婦女誘拐・強姦めいた悪行の祟りで
不幸せに死んでいく凄惨な風景が読みどころ。


同じ視座で言えば、太平記だって、
後醍醐天皇のクーデターから政権奪還と統治の失敗失意のうちに崩御したあと
いわゆる南北朝の動乱が一番面白い。
太平記は軍記ものとか歴史文学のジャンルにカテゴライズされますが、ここでは平家物語が圧倒的に完成度が高く、
どうしても頂点に立てない。
綿々嫋々たる風雅の味わいに欠けるところが減点理由。
しかし、仁義も道理もへったくれもないリアリズムの世界を活写したと思えば、なんとも読み応えがあるし、
実のところ、名分は南朝にあるとしつつも、徳のない後醍醐が君臨し、
その無能な取り巻き共が政権を土崩瓦解させてっていう史観である。
混迷を極める時代を「太平」記とは皮肉以外の何者でもなく、
義満登場(三代将軍を支えるのが細川頼之)でもって初めて・・・

中夏無為の世となりて・・・

ってことで終幕です。
大河ドラマ的にも、室町時代は人気がなく、安定政権として国家統治ができていないころばかりにスポットライトが浴びる。
日野富子を主役に「花の乱」がありましたが、策謀渦巻く応仁の乱が舞台でした。
どうせなら、南北朝から王権簒奪をもくろんだ義満の死去をへて、
天魔王を畏怖された六代目義教暗殺のまでのほうが面白い・・・


平家物語に比べると、太平記は政治文学的であり、さしたる根拠もなく南朝正統論を唱え、
水戸学から尊皇攘夷論までをリードしたわけですから、歴史的な影響も大きい。
明治以降も、正潤論なんて不毛のイデオロギー論争が政争の具となり、
国の方向をゆがめる一因ともなった。
こげなブログを書いただけで、ライトのヘイトスピーチの餌食となり、
あまつさえ命まで脅かされたのである。
天皇家としてのお立場は北朝正統でずっと決まりだった。


実のところを言えば・・・・「万世一系」なんて幻想を言わずに「一天両帝南北京」と冷静に時代認識をすればよかったと思うのですが
当事者にとっては自己存在意義にかかわる重要問題ですから理性的になれるわけがない。
真田一族だけがそうであったってことではなく、たまごはひとつのバスケットにいれないのが生活の知恵。
老練な公家や武家は、かならず南北両方に天秤をかけていました。
どっちに転んでも血脈は残るようにということですが、どうせなら自分たちが残りたい(笑)
骨肉の争いって、よけいに難儀なんですよ。


いま一部的にベストセラーらしい日本国史だか日本国紀でどのように
取り上げられているか...所詮ライトノベル
興味はない。
あちこちに矛盾する記載があると指摘の向きもあるが
アタシ的には当たり前
典拠を書くには恥ずかしい売文を適当に切り貼りしたのですから
当然でしょう。







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