古典の世界では「とのい」と言うが「しゅくちょく」と同じ事。
徹夜仕事はしばしばだったが、斯様な勤務制度のある職業についたことがないので長い夜をどう過ごすのかよく知りません。
聞くに、渋谷に近いオリエンタル病院の勤務医であった元大学講師の外科医直江庸介は、当直のたびに道玄坂の寿司屋とかBARに入り浸りったらしい・・・
暇な夜勤とは思わないが急患が来ればのんびり酒を飲んでいるわけにはいかない。
しかし宮中の宿直なんか暇を持て余し、たわいない夜噺三昧に違いない。
HIKARU源氏くん17歳の夏のしとしと雨の夜。
退屈な宿直に付き合う年上の親友の頭の中将とか中年の取り巻きの下級貴族が品下がる話に興じている。
過去付き合ったオンナの品評会って、上品とは決して言わない。
HIKARUは、聞くともなく耳を傾けているが・・・
早い話「中流のオンナが一番」って結論のようです。
パーフェクトな女性はめったにいるものではないが、中流階級(この世界では中流貴族です)の女性に、
個性的ですぐれた者が少なくないというのが経験則らしい
廃屋のような寓居で可憐な女性に出会ったりすると不思議に心引かれる・・・ってこれはそうだ。
浦の苫屋に千金の名馬をつなぐって喩えもある。
さらに生涯の伴侶を選ぶ基準は、
貞淑であること
嫉妬をしないこと
なんとも身勝手なものである(笑)
しかし、美しい心映えは、容姿や階級を凌駕するというのは普遍の真理ではある。
HIKARUの女性遍歴(その後の物語展開)は、まさしくこの「雨の夜の女性品評」に
インスパイヤーされて展開されるわけで、前半部のコアな箇所である。
しかし、ある意味で皮相な女性論であり、ストーリー上の重要性を除けばつまらない箇所としかいいようがない。
なんといっても「オンナは顔よりも頭のいいのが一番です」・・・ってのが持論ですのでその意味で式部女性論には組みするものではない。
LADYムラサキって、彼女も不遇な中流貴族でしたから、感情移入が激しいのですよ。
多分ですが、内館牧子さんも見解は別にするが組みしない側に立っているはずだ。
可愛いだけのオンナはすぐに飽きる
優しくて細やかなオンナは、段々に鬱陶しい
教養と知性に富んだ女は、やがて肩が凝ってくる
すがりつく頼りなさなオンナは・・・足が遠のく
って、こっちのほうが格段に含蓄深い(笑)
誠に失礼ながら、アタシと内館さんの見解を合算してシェイクすれば・・・
可愛いオンナは、馬鹿でもなれるが
能力のあるオンナは、怖いオンナでないとなれない
・・・ってことかな
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