2022年3月2日水曜日

朧月夜

 オオエノチサトと読めば、平安朝初期の学識は高いがうだつの上がらない官僚歌人

オオエセンリならば、昭和の高学歴系なアーティスト

多少に皮肉的なんだが、この歌人の時代は完全倭風文化でもなく漢文調がまだ幅をきかせていた。その中で「チサト」と呼称し、遥か千年後には「センリ」とは!
最初の奉公先の同期生にも「千里」君がいたが、彼はなんと呼んだのかなあ?


彼の代表作(和歌)は



ウィキではこの百人一首収録歌が選ばれています。


月みれば ちぢにものこそ.....(古今秋歌上)


勅撰集採用歌ですが、百人一首が最高作歌集でないことのエビデンスの一つですし、彼の月の歌ならば



を先ずアタマに浮かべるものだ。

この時代は白氏文集を読んでいないと白痴ならぬ文痴そのもの。多少の歌才があれば、漢詩を和歌にアレンジをしたものです。


不明不暗朧朧月(明ならず暗ならず朧々たる月)


朧月夜の美學の極地なんですが、新古今で初めて勅撰集に収録されるって、、多少に不遇な歌にも思えますが、実はこの歌の真価を発見したのはレディムラサキ


花宴巻に「.....似るものぞなき」と多少字句を改めて引用されます。漢風の匂いを嫌ったのでしょう。


舞台設定としては、ヒカル君失脚のトリガーとなる「不倫騒動」の発端のエピソード。

一夜の過ちならば許されもしようが、この歌を誦じる若いオンナの声に誘われ、、、実は皇太子(ヒカル君の兄貴)の妃に予定されている不倶戴天のライバル家の姫君であり、素性が判明した以上体をかわすのが常道だが、、、お互いズルズルと関係を続け


伊勢の海阿漕ヶ浦に引く網も、、、


つまり「度重なれば人もこそ知れ」って事(^^)

ヒカル君がライバル家のハニートラップに引っ掛かったって解釈は多少無理だし、お互いがスキモノでってことなんでしょう。



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