2022年6月1日水曜日

気狂いピエロ

 




最高に衒学的な名題、、、と自信満々(^^)

フランス世紀末象徴韻文詩に多少の知識なり興味があれば、衒学でなく洒落(エスプリ)と思ってもらえるかしら?

ゴダールの「勝手にしゃがれ」をネタにしたならば、この最高傑作(といわれていますが)をスルーは出来ないだろうって思うだろうし、、、


Pierrot Le Fou


60年代後半の公開でよかったなあ

いまなら「気狂い」なんて言葉は使えない、、、愚かなピエロとかピエロの錯乱

あまりにも散文的だ



何のためにエンディングにかのランボーの地獄の季節の一節「永遠」のショットがあるのだ


.....

Elle est retrouvée.
Quoi? — L'Éternité.
C'est la mer allée
Avec le soleil.

また見つかった、
何が、永遠が、
海と溶け合う太陽が。

.....



これがラストシーンです

爆死したピエロのあと、カメラは太陽と海の遠景をとらえ、アンナカリーナのモロローグ


多くの文学者が単語的にはどってことないだろうフランス語(小林秀雄さん的に言えば「永遠とは太陽と海の交尾」だということ)をあれこれ心血を注いで翻訳をしています。

今回の4K版の公開に合わせて寺尾次郎氏は字幕を書き換えたらしい。良い翻訳になったかどうかは未見だから分からない(動画配信サイト版を久し振りに鑑賞しただけ)

それに、字幕翻訳は映像からの制約(日本語ならば二行、二十六文字以内)があり、、逆にいうと映像にフィットすれば良いサブタイトルということになる。


今更ながら思うのですが、

王朝古典和歌を現代散文詩の形式で読む人は多分いないだろう。

鑑賞の手がかりにはするがあくまで原文を賞味する。

フランス世紀末象徴韻文詩もまた同じなんだと思うから、原文と多少の語彙単語の説明付きの訳本を出版して欲しいものだ。

漢詩も返点をふった和読みでなく原文の発音で味わえとおっしゃる向きにも一定の真理がある、、、のだろうなあ

0 件のコメント:

コメントを投稿