2022年11月25日金曜日

羊頭狗肉

 



清代に「恆言録」っていう雑本があります。
成語由来辞典みたいなものです。
羊頭狗肉って成語の出典の説明があることで有名・・だとアタシ一人が(^^)
それによれば、晏子春秋に「羊頭狗肉」が初出だと書いてあるらしい。
しかし、その類語で

牛頭馬肉
羊狗牛馬  ・・・・なんかも(以上は諸橋大漢和に載ってます)



さて、意味することは同じでして、今ならば景品表示法の「優良誤認」みたいなもので、まっとうな商売人ならば絶対にやってはいけない。

ところで、以上の成句からすれば、倭国での食肉のランキングは
牛・豚・鶏 とくるが・・・
中国では、どうも、馬より牛が上
そして、牛や馬よりも羊や狗が上で、最高位に羊が来る。
つまり・・・羊・狗・馬の宮中席次が出来上がる・・・ほんまかいな(笑)



しかしである。
狗料理は、韓国の北部では裏町で結構盛んであるし、倭国でも□森では密やかに・・単に大胆ではない程度
馬料理は、熊本、長野、青森なんかが、食材の産地です。
羊ともなれば、残念ながらジンギスカンしか思い浮かべない(苦笑)

さすれば、本場ともなれば・・・と思うのですが
中国もエリアが大きいので、一概に言うべきではないのでしょうが、
いまや、保守本流は「豚」と思えます
牛は毎度申し上げるように食材としては調理の幅が狭く下等なのです。有り難がるのは単に「値段」なんだ

狗鍋は、夏場以外では結構人気と旅行ガイドにはあります。
さて「羊」はと言えば、延辺料理(中華+韓国+蒙古あたりみたいな)での串焼きと北京あたりで有名なしゃぶしゃぶ・・・あんまり、レパートリーがありません。
しかし、この延辺料理なるものは、新大久保あたりでは行列だとか・・・
上野にもありますが、行列は出来てません
なお、検索しても「馬」は、まったくかすりもしない(笑)



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さて、諸橋轍次先生の大漢和辞典は、B4サイズで全12巻。
収録された親文字数が数万。
延厚さで、ざっと一メートル程度の堅牢無比浩瀚な辞書ですが、その辞書でも、七ページ程度の記述がありますので、結構ポピュラーな漢字のようです。

羊は祥に通じるということで、悪い意味で使われることは少ない。
しかし「亡羊得牛」という成語があり、言ってみれば「損して得取れ」みたいな意味。
これまた、所変われば品変わる・・・ってことかな。


最後にちょこっと
日本には、元来羊文化はありません。
古くは、麻に絹。コットンは江戸の頃から・・・
ところが、明治以降ウール地の軍服製造の必要上、羊の飼育を始めた。
その羊毛以外の(言ってみれば)廃物利用の結果がジンギスカン料理だと定説・・・
しかし・・・そんなお馬鹿なことは諸橋先生が書くところではない。
また、仙台の牛タンの由来も似たようなもの









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