原作は平野啓一郎氏
原作をどの程度いじったのかは判らないが(原作は図書館の予約待ち)、よくできた作品です。
今年の日本アカデミー賞最優秀作品賞
それ以外にも
主要部門は主演女優賞以外の総取りの快挙!
っていうか.....日本映画の層が薄いから、、、、なあ
このノミネートからすれば事前予想が外れようがないわ(^^)
因みに主演女優賞は、作品賞にノミネートすらされなかった作品のヒロイン。
主演女優が素晴らしいが映画はひどいって普通はありえない。
その作品賞に掠りもしなかった作品がキネ旬のベストワン(ある男は第二位)です。それも、プロの選出と読者選出の二冠達成!!
日本アカデミー作品賞は大手作品でないと不利、、、どころか歯牙にもかからない事を改めて証明してしまいました。
作品賞ノミネートは、すべからく旧五社とGAGAの配給作品ばかり
安藤さくらが助演女優賞もなんだか奇異だし「ある男」からは助演女優賞候補が二人も選ばれるって?
今一人の若い女優は、ノミネートレベルじゃない
これらから「業界政治的忖度」がアタマに浮かばないならば、それはあまりな想像力の欠如
以下、映画館での妄想
妻夫木聡弁護士は妻の真木よう子に、受任案件の内容をしゃべっているみたいだけど、職業的守秘義務は家族であっても除外されないのだが、、、優秀な弁護士なんだろうがこの辺りは如何かなあ?
バツイチの安藤サクラが再婚して可愛い女の子が生まれた。先夫との間の長男を含め家族四人の幸せの絶頂期に伊香保の老舗旅館の次男になりすました夫が事故死、、、本当の身元は分からない(最後の最後に妻夫木弁護士の調査で判明するんです)
まず、婚姻は有効かしら?
少なくとも旅館の次男ではない以上、その婚姻届は原始的無効だわなあ。
つまり相手不詳の事実婚だということになる(相手不詳なら婚姻届は受理しないよねえ)
長女は父親不詳の非嫡出子、、、つまり私生児になってしまうのはホントに可哀想
それに可能性だけいうと、老舗旅館の跡を継いだ長男が亡くなると、代襲相続の期待値もあったが、それも吹っ飛んでしまう。
法律婚の場合は夫婦同姓ですから、長男くんの苗字は
初婚の時の夫の姓
離婚した際に母親の旧姓に復氏(婚氏は普通は選択肢ないだろう)
再婚した時には旅館の次男の姓を名乗ったはず
婚姻無効だから母親の旧姓に戻るしかない
法律婚主義はさておき、夫婦同姓制で、、、苗字が転々とする事で、この長男くんの心は過度に傷つくだろうなあ。
妻夫木弁護士の尽力により、安藤の本当の再婚相手の身元は判明しましたが、死刑囚の息子っだって!
親がどうあれ子に罪はない、、、って、それは理屈の世界。この死刑囚の息子だって世間から逃れる為にブローカー経由で戸籍売買の当事者になった訳です。
遡って正しい婚姻届が受理出来るかどうかは知らないが、、、長男は経緯を知っているが、幼い長女は全く知らない。父親不詳と父親が死刑囚の息子のどっちがいいかなあ、、、ってまるで悪魔の選択
狂言綺語的に書けばこうなるが、結構シリアスなお話なのです。
ところで、なりすましくんが旅館の次男名義で保険契約者と被保険者、安藤が保険金受取人の生命保険があったようです。
これは、ちゃんと支払って貰えた、、、と映画ではなっているようになっているが、すんなり払って貰えたのかなあ?
結構力仕事になりそうな気がします(保険会社はまず保険金詐欺の可能性を疑うはず)
保険証券が確かにあり、受取人の実印や戸籍謄本、被保険者の死亡検案書もあります。
しかし、被保険者や住民票の名義は赤の他人。
その名義上の赤の他人は生死所在不明だし、実際の被保険者はどこの誰だか分からないが、死亡したことだけは確か。
この場合の保険金は通常相続財産を構成しますが、、、安藤サクラが本当に受取権があるかどうかも判然としない。死者の正体を暴けば妻がいた!となれば、支払うべきは相続税ではなく贈与税になりますなあ。
まあ、家族法的な法律関係を正常化するまえに、シレッと保険金請求をやって仕舞えば、一件落着なんだが、まかり間違うと犯罪になりかねません。