2021年2月27日土曜日

後鳥羽院と定家

 


昨日の続きです。
今日は....二人の偉大な歌人の痴話めいた喧嘩のはなしにしよう。
定家がひと回り以上年上だが、中流貴族の端くれ....つまり中間管理職です。
職業歌人の家系だが、この陰湿な宮中世界は才能だけでは世渡りが出来ない。
性格の悪い定家ですから同僚と諍いを起こして幾度も懲戒処分をうけるし、主流派にいないと出世も出来ない。
片や、安徳帝の異母弟で次のみかど。
多芸多才の天才だが、歌人としてもまたしかり、
定家の前衛的な歌風に魅了され彼を重用するが、位階が上がらないもんで不満たらたらな定家はついついあからさまな後鳥羽批判を始める。

道のべの
野原の柳 したもえぬ
あはれ嘆きのけぶりくらべや

体調がすぐれず、亡母の遠忌でもあり引きこもっていた定家に後鳥羽からお召しがあり、固辞するが後鳥羽もワガママ。
無理矢理ひきずりだされたからかどうかは知らないが、やげやりに詠んだ(と丸谷才一氏は言います)が逆鱗に触れ、破門絶縁の憂き目。

後鳥羽の怒りの理由もさまざまに語られますが、定説はない....当事者しか解らない何かなんですよ。


歴史は皮肉なもので、承久の変の結果、後鳥羽は島流し、定家は復権。家格以上の出世とあいなり天寿全うし、現在の冷泉家へ。

一方、隠岐に流された後鳥羽は、、、せっせと、新古今和歌集のディレクターカットファイナル版つくりに精を出す。

いま伝えられる隠岐本....定家畢生の名歌は悉く削除された異様なバージョンだそうです。

その事を知ってか知らずか...定家の晩年に勅撰和歌集の選定が命じられた。俗に「うじかわ集」と揶揄される評判の悪い歌集。

やたらと鎌倉御家人の駄作が選ばれるし、なんと後鳥羽院の作品は全無視!

専門家はそんな事は口にはしませんが、隠岐本のしっぺ返しに違いない。

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