2023年10月5日木曜日

映画版 時の娘

 




真実(真理)は、いまは隠されているかもしれないが、時間の経過によって明らかにされる

というような趣旨であり、決して「権力や権威のどら息子」ではないことを言外にこめる
クラシカルな表現らしくあちこちで引用されるが、一番著名なのはこのミステリー史に燦然と輝くこの歴史ミステリー「時の娘」であろう




イングランド史上最悪の国王とされるリチャード三世ですが、薔薇戦争の末期に登場するヨーク王朝の最後の王。以降はチューダー王朝となりエリザベス一世で絶頂を迎える。
彼の悪逆非道はシェイクスピアの史劇で一際有名だが、あくまでもこれは創作。
王位簒奪やら幼気ない甥兄弟の惨殺やら罪状数多なんだが、、、、仮に刑事裁判ともなれば、犯行の動機に始まりマトモな証拠はなく、、、そもそも惨殺されたとされる兄弟の死体すら未だに発見されていない以上、無罪判決しかあり得ない....とかなんとか


冤罪が永らく定説となった理由は明白。
これが軍事法廷の論理に踊らされたということ。
正史は勝者の玩具だし、勝てば官軍負ければ「戦争犯罪者」
実に分かり易い(^^)
リチャード三世の事績に関する文献の大半がチューダー王朝期のものだから、内容は押して知るべしだ。

しかし冤罪説が定説になったともいい難いらしいから、、、真実が本当に明らかになるのはいつかはわかりません。

最近やっとリチャード三世の遺骨が発見され、国王として丁重に埋葬されたよし。

その功績は一介の歴史マニアの主婦(サリーホーキンスが好演)によるものであり、国家と女王は勲位を以て労に報いた。

因みに、倭語版のミステリーオールタイムベストではかなり下位に位置します。
選者の力量と言ってしまえばそれまでですが、15世紀の英国史に通暁していないとまず読みこなせないから致し方ない(同じ名前があれこれ出てくるし人物関係がよく解らないし、、、)

苦労しても読みこなせないのは時間の無駄ですから、高木彬光氏の「義経=成吉思汗」説の証明ミステリーの方が食いつきやすい。

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