2018年11月19日月曜日
アンナ・カレーニナ 嘘だかペテン
サマセット・モームが世界十大小説を選んだ際にハズレにした
感覚が解らない。
良い小説に必要な要素を全て兼ね備えています。
あえて勘ぐれば、トルストイを二作品選ぶのを憚った。
逆に戦争と平和を落とせばよかったのに
読んでてワクワクドキドキ波瀾万丈
スキャンダル満載...不義密通、私生児出産、泥沼離婚劇、愛人との愛憎、
そして自殺。
しかし、それだけならば、イタリアンオペラ的に通俗なのですが、
アンナの不倫相手に心を寄せる義理の妹が、実直な地主との
愛に生きる姿を対比させ、複眼的世界をえがくことで
小説の奥行きを出します。
近代小説の双璧は、アンナカレーニナとマダムボヴァリーに尽きる!
何度も映画化されてます。
ソ連版はさておき、ガルボで二回、ヴィヴィアンリー、キーラナイトレイ、
ソフィーマルソー
今回はロシア版!
いそいそと足を運んだが...なんですか?!
ポスターにはアンナの等身大
大きな文字で、アンナカレーニナ
その下に小さく、ヴロンスキーの物語
勘違いは毎度ありますが、これは酷い。
アンナカレーニナ自殺後三十年余り後の後日談なんです。
頃は日露戦争末期
アンナの息子は軍医になり、負傷したアンナの不倫相手(ヴロンスキー伯爵)に
遭遇し、ヴロンスキーは自分の目から見た愛憎劇の顛末を語るという
もうひとつのアンナカレーニナなのです。
古き良き時代のモスフィルム映画を思い出させる
端正な作り。
回顧シーンはそうなんだが、満州の場面がチープ。
今のロシアの国力を垣間見る。
ついでながら...
ボヴァリー夫人の不倫相手は不実な破廉恥漢でしたが、
ヴロンスキー伯爵は誠実だったと思われます。
彼は、アンナ自殺後私兵を編成してトルコとの戦争に参加しました。
満州でも、アンナの息子達が逃げ延びる時間稼ぎに、
第一線にたつのです。
多分ですが死に場所を求め、早くアンナの元に行きたかったのでしょう。
チャチな戦闘シーンが少し哀しくなります。
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