2018年11月16日金曜日

大経師昔暦(ダイキョウシムカシゴヨミ)



1950年代は日本映画の黄金期
ジャリタレの人気、コミック、CGに依存しない本格的な
製造仕様。
近松を原作としますが、知名度的には二線級。
だからなのか

近松物語

として公開されました。
原作はハッピーエンド的な結末ですが、映画版は
陶然とした悦楽的雰囲気の道行で終わります。


お家さん(ヒロインの若奥様)の嬉しげな御顔みるの
はじめてやなあ


茂兵衛さん(手代)も清々しいやおへんがな


不義密通の咎で市中を引き回される二人(二人の手は握られたまま)
に京雀たちは噂します。


近松の不義密通モノには「ギリシア悲劇」風な作品が散見されます。
大半は義理人情のしがらみの果ての道行劇なのですが、

そんなつもりはなかったが...
良かれと思ってやったことが裏目に出てしまい
元に戻そうとすると更に深みにはまり、
抜き差しならなくなり、あとは奈落に落ちるだけ

という展開。
近松のオリジナルよりも良くできている。
原作の人気がないのがよく分かります。
普通の古典全集の近松本にはまず収録されない。
正確に書けば、近松の素材を川口松太郎が戯曲化
それを元に作られた溝口の名作です。

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