舌打ちしたくなるほど腹立たしい。
大抵は「大事な」もの。
値段じゃなくて、今すぐ必要だとか、思い出が詰まっていたりとか
探しまくってもでてこない...苛立たしい
そんな時には、伝説の呪文を唱える
きよみずの 音羽の滝は尽きぬとも....(下句は失念)
京都屈指の名水だそうで、お茶席にはこの滝の水を使うのが定番だとか
三筋の滝流はそれぞれ、学業、恋愛、健康を成就させるというが、失せ物探しの御利益なんかとは無縁。
出来のあまり宜しくない三十一文字だが....かつてのアタシの部下だった「焼き鳥お中臈さま」の口癖。
アタシがゴソゴソ探し物をやっていると、聞えよがしにこの呪文を唱える(^^)
東雲に おきてわかれし ひとよりは
久しくとまる 竹の葉の露(玉葉集 和泉式部)
頃は陰暦八月(年は不明)
深夜にやって来て、明け方に帰って行った誰かさんが露置く竹葉を描いた扇を忘れていった。
奔放でオトコ出入りが激しかった彼女ですから、誰かさんが「誰」だかは判らない。
王朝貴族は、昭和のオジサンみたいに、、ハトガマメクテパ!なんてごちゃごちゃ小物を持ち歩かない。
扇一本あれば、、、
今時のハンディファンとかマスク会席とか実利的な使用方法はもとより、扇を使った仕草....扇言葉なるハイソサの作法まであったそうな。
だから、過失で忘れたのでなく「故意」に忘れていった可能性の方が高い。
和泉式部は知ってかしらずか、暫くしてからこの和歌に添えて返したムニャムニャなるながい詞書が付いています。
誰かさんは「儚い気持ち」を忘扇に託したのでしょうが、式部の返歌(これが過失ならば単なる贈歌)がまことに巧み。
そっけなくそそくさとかえっちゃうんだもの
儚く消え去る露のほうがよっぽど....
忘れものに因んだ和歌はあまり記憶にないのですが、失せ物探しの呪文には、音羽の滝よりこちらの方がつきづきしい。
しかし、そのままじゃ意味を理解してもらえそうにないし、音羽の滝はまだ多少の周知はある。
失念した下の句の部分に、この「久しくとまる....」をはめ込んでみよう。
我ながら、、、実に素晴らしい!
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