2022年10月12日水曜日

ゼネラルエレクトリック

 




中学生レベルの英語表現だが、、、どうしてオリジナルタイトルが「盛衰」になるんだ?

かのギボンの不朽の老作は、人類が歴史上一番幸せな時代と言われた五賢帝から筆を起こし帝国の滅亡までを活写した。

原題は失念したが邦題は、ローマ帝国「衰亡」史



先日公設貸本屋さんに足を運び、言葉巧みに、、、



あのビルゲイツが推奨してるんですよ

WSJの現役記者が執筆してダイヤモンド社が邦訳を刊行したんですよ

GEの成功と没落のストーリーなんて、多少なりともビジネスに興味があれば誰でも読みたがりますよ

図書館の蔵書にない方がおかしいですって

ゴミ紛いの芥川賞作品を買うくらいならば、予算をこちらに振り向けて、、、



真面目そうな司書を籠絡するのはわけなく(^^)

程なくしてこの本が届きました。

しかしね、、、本気で読む気ならば自分で買いますから、なんか勘が働いたのです。


よく言われる「築城十年落城三日」、、、訳知り顔にこんな講釈たれる評論家やお年寄は信用しない方が良いと思いますよ。

ウェルチが80年代から二十年余り君臨し隆盛を極めたが、二十一世紀初めからの十数年の後継CEO(イメルト氏やフラナリー氏)の失政で落城の憂き目をみたってストーリーがビジネス史の定説。


しかし、それは違う、、、と思う。

落城の因子(悪性腫瘍)はウェルチの時代にあちこちに埋め込まれており、後継CEOは転移に転移を重ねる悪性腫瘍のたび重なる外科手術に疲弊して、野垂れ死んだと考えるべきだ。あちこちに書評が出てますからアレコレと腫瘍の解説はしないしエリートが巣喰う大企業にはありがちな事で目新しい事は何もない。


ウェルチは退任後の自己評価では

経営成績はA評価

後継者人選は評価F、、、、だそうですが如何かなあ


後継者はよく持ち堪えたと思いますが、ウェルチ時代の経営とは(原文のままですが多少微調整)


目標を達成しようとする意思は客観的な数字を超克する。

その為には

違法紛いの攻撃的な会計処理

雄猿至上主義の文化風土

戦争の言葉で鼓舞する戦略とマネージメント、、、

が当たり前なんでもやる組織体質を構築したということである。


GEとはものつくりの会社ではなく金融サービスの会社であったし、実態利益以上の自社株買と高配当でキンキラリンな虚像を作り上げていたのです。

GE帝国の盛衰を活写したいならばウェルチ時代の光と陰を書くに如くはない。

それに目を背けては歴史を書いたことにはならない。



一気に読み終えましたが、数字の全くない経営史は実のところ読み易いが文章の真贋判断に困る。

一食を抜いて贖い睡眠時間を削って読みふけるまでの事はないが、それなりな書評を書いてみようって気にさせるレベルの書物だと思います。

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