とは言っても、昨今のこと
声はさておき、お眼にかかるのは蜚蠊やら虻蠅のたぐい。
蟲の夜鳴きなんて、絶滅危惧の世界
文部省唱歌「あきのむし」に登場するのは、、、
不思議と言えば不思議なんですが「キリギリス」、、漢字だと「螽斯」はどこに行った。
王朝和歌の世界では先ず、、いや圧倒的に「螽斯」
さしたる名唱でもない、、、天才歌人の凡作ですが、知名度だけはたかい。
きりぎりすなくや
霜夜のさ筵に 衣片敷き
ひとりかも寝む(百人一首 良経)
ある方によれば、万葉集には蟋蟀(コウロギ)は登場するが、螽斯はお呼びではない。
しかし古今和歌集以降はそれが逆転する。
おおかたの見解は理由不明だが、呼称の混乱があったとされるが、、、姿形や声があんだけちがうんだから、にわかには納得し難い。
ともあれ、逝く秋、別れの秋には螽斯が一番似つかわしいとされる。
逝く秋の螽斯私撰架空歌合
鳴きよわる
まがきの蟲もとめがたき秋の別れや
悲しかるらん(千載集 紫式部)
きりぎりす
夜寒にあきのなるままに
弱るか
聲の遠ざかりゆく(新古今 西行)
もうすこしレベルの伯仲する同じような和歌があれば良かったのですが、雰囲気だけはよく似てますから。
ストレートな感情表現よりも「弱る・遠ざかる」という比喩表現の方が趣きがあるかな。
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