実に面白い。
元禄期の古文だから、王朝古文のように古語辞典と古文法本を横におかなくとも、まあサクサク読めます、、、、し、心情の程がまだわかりやすい。
近松ならば、なんちゃって心中モノ
曽根崎心中に心中天の網島
お話は簡単、、、なのは前者
北浜の食品専業商社の幹部社員(徳兵衛)が北の新地のホステス(お初)とわりない仲になったのはいいが、社長に無理強いされた結婚の支度金が返済できなくなり、切羽詰まり曽根崎あたりで無理心中。
雰囲気としては、勝手に死ねばいいのに(恋一筋の思い詰め感だけは凄い)ホステスをむりやりまきこんだようなもの。
本当に、お初さんは可哀そうだし風俗嬢としての基本が出来ていない(玉の輿を狙うのはいいが、心中なんか)、、、のだとアタシは思う。
後者は、三角関係のもつれみたいにかなり複雑。
今度のウジウジした男は紙パルプ商社の若社長治兵衛。貞淑で働き者の奥さん(おさん)に二人の子供までいるのに、商売そっちのけで、風俗嬢(小春)に入れ込む。
バンスを全て肩代わりしてお店をやめさせ生玉当たりのマンションに囲うだけの才覚もないくせに、恋敵にして商売敵(だったかな?)の同輩が許せない。
三角関係というのは現象面のこと。内実は二人の女の義理堅い約定が裏にありその約定が破綻し、、、ってところから理解しにくい心情風景が見えてくる。
死ねば、全てがアウフヘーベンしないのよ。
後味の悪い不条理恋愛劇。
近松が、19世紀のフランス近代不倫小説を遥かに凌ぐ「悲劇」を書いたのは、それに先立つ18世紀初め。
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