2021年12月15日水曜日

恋文の代筆引き受けます

 今に始まったジョブではない。

文筆で身を立てようと思う程度の才が有れば、代筆に手を染めるのは至極当然のこと。


今様ならば、政治家本、タレント本でゴーストライターが全くいない事例は皆無といわれる。

ベストセラーになった時に紛糾しないように、守秘義務と知財権の所属だけをちゃんとしておけば良い。


恋文の代筆ならば、シラノドベルジュラックのロクサーヌにあてた恋文があまりにも有名だが、倭国だって、、、でもこれは横恋慕だわ。




通俗的には仮名手本忠臣蔵のエピソードにもあるように、塩谷判官の美人妻に高師直が横恋慕。

その恋文の代筆を当代屈指と言われたかの兼好法師に依頼したが、美人妻は、、、ヨマズニステタ(^^)

恋文の出来栄えの問題ではないが、兼好法師はお出入り差し止め、逆上した師直はあの手この手のパワハラを繰り返し、果ては刃傷。塩谷家は取り潰しとあいなり....あとはご存知の雪の夜の討ち入り



本当に兼好法師が書いたかどうかはさておき、太平記にはそう書いてます。

史料としての太平記は半分は信頼できるが後は相当に怪しいと言われます。


亀田俊和氏の「観応の擾乱」を詠んでいますと、師直の家臣である薬師寺公義が、横恋慕の相手に宛てた和歌の代作をやったと書いています。

つまり、兼好法師の失態の後日談が太平記には書かれているのです。

多少説明すれば、兼好法師の不首尾をきいた公義。主君を慮り、兼好法師のピンチヒッターを買ってで、

改めて贈歌。

首尾は叶わなかったようですが、それなりのコミュニケーションはできたって事で上司の評判は赤丸急上昇


ちなみに、公義の一首


返すさえ 手や触れけんとおもふにぞ

我が文ながら うちも置かれず


相手方もシカトも出来ないので、、困惑しながらも軽く一言

和歌の世界の高度な御約束事の交歓というやつで、説明をするのも読むのも煩わしい世界。

知っていれば面白いし、知らないと馬鹿にされるってだけのはなし

首尾は不調ながら、ただただ公義の株が上がっただけってこと。

面白おかしく兼好法師の失態を揶揄するだけじゃ雑学にも値しないわ。

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