梅一輪ほどの暖かさ・・・・とは、エレガントなものいいだと思います。
江戸時代の俳人、嵐雪の一句。
春告花といえば、梅に如かず。
ファッションの世界でも「梅春もの」ってあるのです。
デザイナーの教養が問われるのですが、先程の名句にちなめば、
冬仕様の春物でなければならない。
微かにはるのかほりを漂わすのが正しい。
しかし、多くは春ものファッションのしつらえ・・・なもんだから、あまり売れない。
夏から一足飛びに冬になる気象の揺らぎが原因でもあるが・・・
典雅に梅を愛でる一刻なんか、今年はあるだろうか?
漫画喫茶で前田慶次のコミックを見るともなくながめていると・・・
皆々晴れやかな装いの殿の御前。
地味な黒装束な慶次郎。
眉をひそめる一同の中、泰然と殿に対峙し、平伏
さすれば、衿肩にさしたる一輪の白い花
憎いですねえ(笑)
何の花だかまでは記憶にないが、さくらよりも梅の方が似つかわしい。
奇をてらった茶人好みの振る舞いですから、決して主君からは
心底褒められはしない。
小憎らしいとか内心馬鹿にしよって・・・って心におりがたまる。
実話かどうか定かではないし、誰かの真似をしたってありあり。
まあ、適宜適切な本歌取りというのは、知性主義の表れですから、怒る方が、そのレベルが
わかるってものです。
多分ですが、梅一輪をその場の機転で身にまとう・・・というのは、
源平生田の戦いでの、梶原源太景季のエピソードに因む。
戦闘の過程で自分の旗印を失い、さて、如何なるものかってさいに・・・
所は生田なりけり
時も昔の春の
梅の花盛りなり
ひと枝手折りて箙にさせば
もとよりみやびたる若武者に あいおう若木の花かずら
かくれば箙の花も源太も 我先駆かけん先駆かけんとの
心の花も梅も 散りかかって面白や
箙・・・矢を入れる道具に梅一輪をさし、奮戦し、味方敵とも感嘆したと、
戦記本には書かれている。
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