2019年1月29日火曜日

ライ麦畑のサリンジャー



名馬と伯楽の交流や葛藤ほど面白いものはない。
トーマス・ウルフとマックス・パーキングの物語は映画になりました。
この作品もそういう視座で鑑賞すると面白い。


ライ麦畑の反逆児


オリジナルタイトルの直訳です。
さらに「ひとりぼっちのサリンジャー」と説明的なおまけまで
ミーハーな観客が足を運ぶわけではなく、
ライ麦畑....と言えば、サリンジャーを思い浮かべるのが社会通念
つまりは「あらかじめ馬鹿にされた観客」なのです。


サリンジャーについて詳しくはなく、週刊誌的興味の範囲の
知識にとどまる。
コロンビアで教鞭をとりながら雑誌編集者でもあった
ホィット・バーネットがサリンジャーの名伯楽であったことは
初めて知りました。
ストーリー的には、失恋や戦争PTSD、家族の愛憎を
乗り越える為、宗教的瞑想に浸りながら
ホールデン・コールフィールドを主人公に
書き続ける物語なのですが、
NYの出版世界と編集者との関わりのほうが面白い。
バーネットの役をあのケビン・スペイシーが演じます。

同じ時期に制作された「ゲティ家の身代金」では、
彼の出演箇所は差し替えられ、莫大な追加費用を要しましたが、
この映画はそのまま公開です。
セクハラ訴訟の結果如何ですが、彼の遺作となりかねない。
さすがに二度のオスカーに輝く名優の演技ですから
みておく価値があります。

ケビンをそのまま公開したからに違いないが、批評家の評判は
よくない。
興行成績も宜しくはない。

名馬はあれども伯楽はいないのは、
映画と観客の関係もおなじだ。

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