2019年1月3日木曜日

コリオレイナスの証明



まさにシェイクスピアは素材の宝庫
彼が意図したスタイルだけでも多様な表現が可能だし
モチーフを借りてくることで、新しい藝術をも創り出せる。

オリジナルは、クラシックローマの共和制初期
貴族組と民衆との葛藤あるいは二重権力構造がうむドラマ
主人公のコリオレイナスは、優秀すぎる軍歴軍功が、
民衆の不安を生み、貴族的な激情傲慢な態度が大衆の不満を呼ぶ。
阿りとか忖度なる言葉は彼の辞書にはない。
護民官の策謀と扇動の結果ローマ追放の憂き目を見る。
復讐の念から長年の宿敵の手を借り、ルビコンの川を渡る...
かつての盟友たちは、なんとかコリオレイナスの情にすがろうとします。

なんてな悲劇が史劇ではなく現代劇として映画化された。

レイフ・ファインズが監督にして主演
さすがにRSC出身。
未だにオスカーがとれないのが不思議な名優
彼の監督作品だからかどうかは分からないが...

宿敵役がジェラルド・バトラー
コリオレイナス派の政治家、ブライアン・コックス
コリオレイナスの母、バネッサ・レッドグレイブ
コリオレイナスの妻、ジェシカ・チャンスティン

主演作が何本も作れそうな豪華さ


あまり人気のある原作でもなさそうでして
読んだことはありません。
野卑な民衆や蛮人が、
レトリック満載の格調の高いシェイクスピア英語を喋るのですよ。
しかし、シェイクスピア劇よりも、エウリピデスのギリシア悲劇のようです。


2012年に「英雄の証明」なるタイトルで
公開されていたようですが、記憶にありません。
興行的に魅力ある作品でもないが、
藝術に対して余りにも失礼な取り扱いだったようです。


アマゾンプライムの楽しみは
こんな落ち穂拾いにもあるのです。
かつての話題大作の改めて観直すだけではない。

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