2022年2月25日金曜日

「日本 戦争経済史」を読む(4)

 直接戦闘行為に関与する国の数を除けば、日露戦争とは内実的には「WW0」だと西洋の史家はいうそうです。




臨時軍事費特別会計だけで17億円(一般会計歳入額の七倍強)大半は内債と外債。つまり借金で危険な博打を行ったわけですから、背景的には侵略というよりも自衛戦争。

国力の差は如何ともし難く、ロジスティックラインが長い為露国の戦費は倭国の五割増だが借入依存は半分にとどまる。はやく講和に持ち込んだのは正解だし、とれた獲物は「鮭の半身.....樺太だけ」に過ぎないが高望みするものではない。

そもそも「戦争に勝った」かどうか判然としない。露国の地を踏んだ訳でも占領した訳でもない。ヒットしたパンチの数が多かっただけ。


この手の話になると景気のいいラッパを吹きまくる無責任な連中が跋扈し、蒙昧な大衆を扇動するのは今と同じ

あの悪名高い「赤門七博士」の主張(正確には一人は学習院教授)というか無鉄砲な暴論。

多くは法学博士ですが、専門外のことに口出しをするものではない

曰く、戦費なんぞは一年間で三億円もあれば充分!

実際は宣戦布告から講和まで一年半かかりましたし、実額は先に書いた通りです。

賠償金は30億円とれ!とかバイカル湖以東を占領せよ!とか....正直に国力レベルを国民に説明していない政府を責める声はその通りだが、こんな暴論を新聞誌面に書き立てたのは、あのふたつの「反」日新聞社というのが象徴的です。


たった七千億円でできるはずの東京五輪が三兆円の浪費となったようなものだが、負けた戦争の後始末は凄惨を極める。

伊藤や陸奥の回顧談義なんかをみれば、、、

北海道、対馬、台湾は割譲あるいは租借は覚悟。

賠償金の言及は記憶にないが、仮に要求されれば清国のように借款で支払うしかない。担保なくしては誰も引き受けないから徴税権を差し出したり、港湾使用権や鉄道敷設権をつけたり......

今風だと綺麗に「債務の罠」という。

中共の手口を擁護はしないが、過去にやられたやりかたを踏襲しているだけだということです。


ともあれ負けなくて良かった。

二度の外征がそれなりの結果だったから帝国主義的侵略の道まっしぐら....だが、負けていれば、ウクライナのようにロシア同化策やホロドモールで「ヤマトミンゾクハホロビタ」かもしれない。



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