2018年8月28日火曜日

危険の引き受け





元大阪府知事と埋没政党の参議院議員の泥仕合のような民事訴訟で
面白い事が起きました。
裁判所は一般的に保守的で、斬新な法理は否定的
裁判官が退官前だったか、芸能ネタレベルの訴訟だから
遊び心が働いた可能性があります。

危険の引き受けの法理

庶民感情的な俗耳に入りやすい法論理である。
下衆な泥試合を引用する気にはならないから、少しは上品に(^^)
例えば...

歌舞伎の大名跡が、老舗の河豚屋で肝を懇願し、
板前は止む無く(あるいは過去から常連には内々)提供し、
不幸なことに鉄砲にあたってしまった。
最高裁まで争われたが、業務上過失致死罪で有罪となった。
民事訴訟については良く知りません。

有名な事件でしたが、この「危険の引き受けの法理」を巡って
正面から激突した訳ではない。
被告代理人の苦し紛れの抵抗が涙腺を熱くします。
いまなら、多少は裁判所も考慮する可能性はありますし、
民事ならば護士の腕次第。


アメリカンの不法行為論から発展した法理であるが、
古典的には「同意は権利侵害の成立を阻却する」というラテン語に法源を持つ。
アメリカ不法行為法における危険の引受法理の適用要件は以下

①関係する事柄が危険な状態をひきおこすことがあるのを知っていた。
②危険な状態に置かれていることを知っていた。
③その危険の性格や程度を知っていた。
④自ら進んでその危険に身をさらした。

イメージとしては、スポーツにおける選手あるいは受講生の事故と指導者責任の関係を
思い浮かべればいい。
選手同士であれば正当業務ということで違法性を論ずるまでのことはない。
しかし過度の粗暴行為は論外なのは、あのタックル事件で
散々学習をした。


さあ、かの板前さんを罪に問えますかなあ?
条例では調理して提供できる部位は明確化されていますから
肝の提供はそのかぎりでは無条件にアウトだと思います。
しかし、刑法違反は議論がありそうです。
問われた罪状は、業務上過失致死罪
普通に考えれば構成要件非該当とは言いがたく、
違法性を阻却するにはこの法理しかなさそう....

しかし安易に認めると法モラルを形骸化させそうだし、
奥の深い問題です。
医療現場ではやたらと同意書にサインさせますが、
それは、危険引き受けの法理を援用しているつもりかねえ?
ハッキリ言えばかなりの無理筋です。




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