2018年9月22日土曜日
神曲あるいは神聖喜劇(1)
ダンテの大傑作
人類遺産
と激賞の言葉にはことかかないが、正確に和訳すれば
神聖喜劇
らしい。
オリジナルは、La Divina Commedia。
コメディなんです。
それを明治の頃鴎外が誤訳..とまでは言わないが意訳した。
でも荘厳な雰囲気から米朝師匠の地獄八景に様変わりして(^^)
なもんで、大西巨人の神聖喜劇を読み直してみた。
世間的な認知度や評価はしりませんが、
日本文学史上最大の観念小説です。
多少補足すれば、観念小説とは、社会派小説みたいな意味で
語られますが、いまは形式論理の大伽藍という意味で使ってます。
陸軍内務班の過酷な新兵の世界というならば、
野間宏の真空地帯と変わらないが、世界観が違う。
完訳漫画版があるらしいので、
探してみたが、結構なお値段のフルモト版しか見つからない。
全巻揃いがないからあちこちで買い漁ったが....
これが、漫画かね?
絵より文章の方が多い挿し絵入り小説じゃないか!
主人公の東堂某は...
ハイパーサイメシア
あるいは、サヴァン症候群らしい驚異の記憶力の持ち主
不合理と暴力が支配する世界に記憶と論理・理性で
立ち向かう様はある意味で痛快としか言い様がない。
けだし...コメディです。
そうです!
かの勝新の兵隊やくざのモチーフはここにある。
もっとも、暴力には暴力は勝新の分担であり、
体力バカだけの映画だと思ってはいけない。
知力を担当する田村高廣さんがいるから、素晴らしい娯楽作品なのです。
暴力に暴力で対抗するだけならば、
それは野間宏氏の世界。
たしかムショ帰りの主人公は、
冤罪を訴えてあちこち掛け合うが、蟷螂の斧むなしく
満州送りになり、ジ・エンド
陰鬱な読後感しか残らないところが文学としての限界。
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