2018年9月19日水曜日

宇治十帖の洒落た読み筋



大部であるだけでなく、あちらこちらに破綻あるいは隙を見せておくことが
後世の好事家・・・と言って悪ければ学者殿の
飯のタネ。
これだけは言っておきましょう。あの時代にこれだけのものを生み出せたのは世界史上の奇跡だ。
もっといえば、大切に後世に伝えたことも・・・
天邪鬼の蝸牛庵は、源氏物語韓国起源説って相当昔から探していますが、
悲しい事に浅学菲才ですから、見つかりません(笑)
なんせ長丁場だし、ストーリーが錯綜するし、作者複数説も有力だし、突っ込みどころ満載なのよ。
一番わかりやすいのが、紫の上系と玉鬘(夕顔のお嬢さんでお父様は藤原一族の頭中将)系による「並びの巻」が
宇治十帖で統合止揚されるって説。
ドロドロ昼メロ風で、俗受もしやすい。
所詮、養い難いと言われる婦女子の読み物。
神学性も哲学性もありはしない。


たいていの読者は、須磨明石で挫折してますから、宇治十帖まではたどり着けません。
若菜の巻なんかちゃんと読んで初めて、この部分が面白くなる。


登場人物は(背景が大変なんですが)オトコ二人にオンナ三人。
乱交2Pだか3P(笑)

匂宮 ヒカルの孫で、明石の中宮と今上天皇の間のプレーボーイ
薫大将 ヒカルの孫という名目ですが、頭中将の息子とヒカルの正妻との間の不倫の子(正妻と言っても天皇の息女ですからトンデモナイ醜聞)

登場するオンナ三人は、ヒカルの兄弟なんですが権力闘争に挫折して剥落した親王のお子様たち。
これがどういうわけだか、今をときめく貴公子のターゲットになるっていうメロドラマ。
源氏物語の所謂長丁場はこのドロドロ劇の為の伏線かと思えるくらいです。

ヒカルと明石の上の間の息女(のちの明石の中宮)は、紫の上の養女になりました。
一方で、薫大将。
隠された血脈的には、ヒカルのライバルの頭中将の孫に当たります。
かつて、夕顔という受領階級のオンナをヒカルにさらわれ、あまつさえ自分との間の玉葛というムスメまでかすめ取られました。
自分の息子の柏木が正妻を寝取って子供までなしことで一矢報いたが、どうもオンナに対しては腕が悪くて・・・(笑)

ともあれ、紫の上系の匂宮と玉葛系ともいうべき、あるいは、ヒカルと頭中将の複製みたいな、
二人の貴公子という舞台装置が出来上がる。

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