2021年10月26日火曜日

ゆうこの天秤

 昔のこと、その業界の長老いわく

文士や活動屋になるくらいならヤクザになる方がまだまし、、、

映画『由宇子の天秤』予告編社会の情報化が急速に進む中、誰にでも降りかかる可能性がある困難を描く人間ドラマ。ある事件を追う主人公が、その過程で自らの価値観を試されることになる。『かぞくへ』などの春本雄二郎が脚本と監督などを手掛け、『火口のふたり』などの瀧内公美が主人公、父親をドラマ「デザイナー 渋井直人の休日」などの光石研が演じ、『かぞくへ...リンクyoutu.be

いまはともかく、まだ任侠道なる言葉が全くの絵空事でなかった時代です。

それに比べればはるかに極道な職業だったということです。

文士の悪口はさておき、活動大写真一本撮るのは大変な大事業。女房や娘を苦界に沈め、、、なんて大袈裟な比喩まで

しかし、映像製作技術革新は参入のハードルを下げ、ローコストハイパフォーマンスを可能にした。後は映像作家のセンスなり天分。

お子様ランチやファミレス晩御飯しか作れない(あるいは作らない)大手が忌避する素材にどんだけ斬り込めるか.....



ヒロインはフリーのドキュメンタリーディレクター。

この演じた女優さんは、皆さん敬して避けるみたいな新進気鋭の女優なんだが....じつにそのあたりはよくわかる

学校の闇を告発しようとした若い教員が教え子との不純異性交遊の冤罪をかけられて...JKは入水自殺。 

教員も「抗議」の自裁。

その真相にカメラとインタビューで肉薄するヒロインだが、、、

塾を経営する父親が塾生と「過ち」を犯してしまう。

どっちが誘ったのは判然としないが、塾の謝礼免除なる対価があったようなので、はやい話が「援交」にみえなくもない

どちらもとんでもない醜聞であり、仮にも明らかになれば(明らかにするという正義を貫けば)その波及的被害は広範囲に及ぶ....ヒロインだって冤罪告発番組どころではないし、、、正しい事と良い事の天秤

実に重いテーマ...

軽々しく正論を吐かないでよ....ってグリーンゾーンで御託ならべる我々に刃を向ける


しかし、事実ではなく「真実」はまるで異なる様相であることがみえてくる

委細は語らないが、、循環器系に自信がないならお勧めしない二時間半の長丁場。

心筋梗塞や呼吸困難におちいりそうなシリアスドラマである。

何もなければ、、、それは感受性に乏しいに違いないし、アタシだって途中で席を立とうと...しかしそんなにヤワならば、極私的プロ映画鑑賞家の看板は下ろさなくては(^^)


しかし、エンディングの展開にはオブジェクション。

ヒロインの心の弱さの表現のつもりかなあ、、、?

絶望感の表し方なら他にもあるとおもいますよ。




大手のシネコンにはかかり難い作品だが、幸いにして意識高い系の単館があちこちに出来たもので、上映の機会にも恵まれた。

映画専門誌なんかの今年のベストテンには当確間違いなしだが、日本アカデミー賞(あんまり権威を感じないが)、、、大手製作会社の談合で決まるような賞を貰ってもしょうがないが、知名度が上がれば先々作品が作りやすくなります




0 件のコメント:

コメントを投稿