2018年10月25日木曜日

相貌失認




素晴らしい四文字専門医学用語。
先人達の教養レベルの高さには敬服します。
いわゆる失顔症であるが、これだとなんとも俗っぽい。

先天的あるいは後天的な側頭葉の機能不全・欠損によるものらしいが、結構な発生率だとか・・・
寡聞にして、認知症患者に「あんた誰や?」と言われることがあっても普通はそういう経験がない。
実のところ、ヒトザルは雰囲気や体型なんかも含めて総合的に個人認証を行っており、
自覚症状がない場合もあるらしい。

そうは言っても、個人認証の上で一番簡便且つ高精度なのが顔認証なのだから、
この機能不全はいささか致命的である。
という事で、そう多くはないが、映画素材として登場する(個人認識的には初めて・・・)


ミラジョボビッチは優秀な教師であるが、
シリアルキラーの殺人現場に遭遇し、かろうじて逃げおおせたものの、
側頭部に怪我を負い、失顔症を発症してしまった。

実際のところ、どういう病状かよく分からない。
Wiki的には、個々の顔を構成するパーツの認識は出来るが、顔全体とか表情の認識が出来ないことだとされる。
が、ジョボの場合は、相手の顔を見るたびに認識結果が異なるというもののようだ。
映画的には、唯一の目撃者なのに犯人の顔が認識出来ないというか絶えず変化するというスリルって事になる。




あまり出来栄えが良くなかったのか、作品はお蔵入り。
全米公開はされなかった(日本公開はされたようですが不知)

あまり馴染みのない脳機能疾患ですから、観客の感情移入活動が難しいのですよねえ。
今なら、顔認識システムなんかがはびこってますから、それを絡ませれば面白くなったと思うのですよ。
どういうアルゴリズムなのかは判然としないところがあるのですが、精度99%をウリにするメーカーもあります。
昔のよしみで技術者に講義を願ったが、疑問は疑問のままだ。

結構あちこちで採用されているが・・・・怖い社会になった事には間違いがない。
免許証、パスポート、個人番号カードを合わせると、国家は国民のほぼ全員の顔写真情報を保有している。
究極の個人情報ですので、用途規制は厳しいが、素直に信じるほどナイーブでもない。
ビッグブラザーが君臨する時代はもうすぐだ。
困ったと思うか安全と思うかはそれぞれだ。

すくなくとも、指紋や血液を無理矢理採取することは
違法であることは間違いなく、証拠能力は否定される。
しかし、顔写真は....採取されることに包括同意を与えた記憶はないが....






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